こんにちは、ひかりです。
今回はベクトル解析からスカラー場とベクトル場の面積分について解説していきます。
この記事では以下のことを紹介します。
- スカラー場の面積分について
- ベクトル場の面積分について
スカラー場の面積分
ベクトル解析05において、3次元空間上の曲面 \( S \) を位置ベクトル \( \mathbf{p}(u,v) \) で表現できることを紹介しました。
これはつまり曲面 \( S \) を2つのパラメータ \( u,v \) を用いて表していることに他なりません。
また、ベクトル解析05の定理3より、曲面 \( S \) の面積要素は
$$ dS=\left\|\frac{\partial \mathbf{p}}{\partial u}\times \frac{\partial \mathbf{p}}{\partial v}\right\|dudv $$
となります。したがって、これらを用いることにより3変数スカラー値関数をある曲面 \( S \) 上で積分をすることができます。
その積分のことを面積分といい、次のように定義することができます。
空間スカラー場 \( f(x,y,z) \) と3次元空間内のある領域 \( D \) 上の曲面 \( S \) が与えられているとする。
このとき、曲面 \( S \) がパラメータ \( u,v \) の位置ベクトル
$$ \mathbf{p}(u,v)=(x(u,v),y(u,v),z(u,v)) \quad ((u,v)\in D) $$
で表現されているとする。
このとき、3変数スカラー値関数 \( f(x,y,z) \) の曲面\( S \) 上の面積分を次のように定める。
$$ \iint_SfdS=\iint_Df(x(u,v),y(u,v),z(u,v))\left\|\frac{\partial \mathbf{p}}{\partial u}\times \frac{\partial \mathbf{p}}{\partial v}\right\|dudv $$
次の3変数スカラー値関数と曲面 \( S \) を考える。
$$ f(x,y,z)=x^2+4y+2z-1 $$
$$ S=\{ (x,y,z) \ | \ x+y+z=1, \ x,y,z≧0 \} $$
このとき、関数 \( f \) の曲面 \( S \) 上の面積分を求める。
曲面 \( S \) の位置ベクトルは次のようになる。
$$ \mathbf{p}(u,v)=(u,v,1-u-v) \quad ((u,v)\in D) $$
$$ D=\{ (u,v) \ | \ 0≦u,v≦1, \ 0≦u+v≦1 \} $$
よって、
$$ \frac{\partial \mathbf{p}}{\partial u}=(1,0,-1), \quad \frac{\partial \mathbf{p}}{\partial v}=(0,1,-1) $$
より、
$$ \frac{\partial \mathbf{p}}{\partial u}\times \frac{\partial \mathbf{p}}{\partial v}=(1,1,1) $$
したがって、
$$ \begin{align} \iint_SfdS&=\iint_Df(x(u,v),y(u,v),z(u,v))\left\|\frac{\partial \mathbf{p}}{\partial u}\times \frac{\partial \mathbf{p}}{\partial v}\right\|dudv \\ &=\iint_D(u^2+4v+2(1-u-v)-1)\sqrt{3}dudv \\ &=\sqrt{3}\int_0^1\int_0^{1-u}((u-1)^2+2v)dvdu \\ &=\sqrt{3}\int_0^1[(u-1)^2v+v^2]^{1-u}_0du \\ &=\sqrt{3}\int_0^1(-(u-1)^3+(u-1)^2)du=\frac{7\sqrt{3}}{12} \end{align} $$
ベクトル場の面積分
次にベクトル場の面積分について、スカラー場の面積分を用いて次のように定義します。
空間ベクトル場
$$ \mathbf{f}(x,y,z)=(f(x,y,z),g(x,y,z),h(x,y,z)) $$
と3次元空間内のある領域 \( D \) 上の曲面 \( S \) が与えられているとする。
このとき、曲面 \( S \) がパラメータ \( u,v \) の位置ベクトル
$$ \mathbf{p}(u,v)=(x(u,v),y(u,v),z(u,v)) \quad ((u,v)\in D) $$
で表現されているとする。
このとき、3変数ベクトル値関数 \( \mathbf{f}(x,y,z) \) の曲面 \( S \) 上の面積分を次のように定める。
$$ \iint_S\mathbf{f}\cdot d\mathbf{S}=\iint_S\mathbf{f}\cdot \mathbf{n}dS $$
ここで、 \( \mathbf{n} \) は曲面 \( S \) の各点に定まっている単位法線ベクトルとする。
(2方向のとり方があるが、すべての点で同じ向きとして選んでおく)
とくに、単位法線ベクトルが
$$ \mathbf{n}=\frac{\frac{\partial \mathbf{p}}{\partial u}\times \frac{\partial \mathbf{p}}{\partial v}}{\left\|\frac{\partial \mathbf{p}}{\partial u}\times \frac{\partial \mathbf{p}}{\partial v}\right\|} $$
となるとき、
$$ \begin{align} \iint_S\mathbf{f}\cdot d\mathbf{S}=\iint_D(f(x,y,z),g(x,y,z),h(x,y,z))\cdot \left(\frac{\partial \mathbf{p}}{\partial u}\times \frac{\partial \mathbf{p}}{\partial v}\right)dudv \end{align} $$
次の3変数ベクトル値関数と曲面 \( S \) を考える。
$$ \mathbf{f}(x,y,z)=(x,y,1) $$
$$ S : 半径 \ a \ の球面 $$
このとき、ベクトル値関数 \( \mathbf{f} \) の曲面 \( S \) 上の面積分を求める。
ただし、単位法線ベクトル \( \mathbf{n} \) は外向き(球の中から外への向き)で考える。
曲面 \( S \) の位置ベクトルは次のようになる。
$$ \mathbf{p}(\theta,\varphi)=(a\sin \theta \cos \varphi,a\sin \theta \sin\varphi, a\cos \theta) \quad ((\theta,\varphi)\in D) $$
$$ D=\{ (\theta,\varphi) \ | \ 0≦\theta≦\pi, \ 0≦\varphi≦2\pi \} $$
よって、
$$ \frac{\partial \mathbf{p}}{\partial \theta}\times \frac{\partial \mathbf{p}}{\partial \varphi}=(a^2\sin^2\theta\cos \varphi,a^2\sin^2\theta\sin\varphi,a^2\cos \theta\sin \theta) $$
より、
$$ \begin{align} \iint_S\mathbf{f}\cdot d\mathbf{S}&=\iint_D(f(x,y,z),g(x,y,z),h(x,y,z))\cdot \left(\frac{\partial \mathbf{p}}{\partial \theta}\times \frac{\partial \mathbf{p}}{\partial \varphi}\right)d\theta d\varphi \\ &=\int_0^{\pi}\int_0^{2\pi}(a^3\sin^3\theta(\cos^2\varphi+\sin^2\varphi)+a^2\cos \theta\sin \theta)d\theta d\varphi \\ &=\int_0^{\pi}\int_0^{2\pi}(a^3\sin^3\theta+a^2\cos \theta\sin \theta)d\theta d\varphi \\ &=2\pi a^3\int_0^{\pi}\sin^3\theta d\theta+2\pi a^2\int_0^{\pi}\cos \theta \sin \theta d\theta \\ &=\frac{\pi a^3}{2}\int_0^{\pi}(3\sin \theta-\sin 3\theta)d\theta+\pi a^2\int_0^{\pi}\sin 2\theta d\theta=\frac{8\pi a^3}{3} \end{align} $$
今回はここまでです。お疲れ様でした。また次回にお会いしましょう。