こんにちは、ひかりです。
今回は高校数学から不定積分(置換積分と部分積分)について解説していきます。
この記事では以下のことを紹介します。
- 不定積分とその性質について
- さまざまな関数の不定積分について
- 置換積分法と部分積分法について
不定積分とその性質
不定積分の定義
関数 \( f(x) \) が与えられたとき、微分して \( f(x) \) となる関数、すなわち、 \( F'(x)=f(x) \) をみたす関数 \( F(x) \) を \( f(x) \) の原始関数といいます。
\( F(x),G(x) \) がともに \( f(x) \) の原始関数とすると、
$$ \{ F(x)-G(x) \}’=F'(x)-G'(x)=f(x)-f(x)=0 $$
よって、 \( F(x)-G(x)=C \ (C: \) 定数)なので、
$$ F(x)=G(x)+C \quad (C:\text{定数}) $$
このことから、 \( f(x) \) の原始関数は1つ \( F(x) \) が分かっていれば、他の原始関数は \( F(x) \) の定数差で表現できます。
よって、 \( f(x) \) の原始関数はまとめると \( F(x)+C \ (C: \) 任意定数)となり、これを \( \displaystyle \int f(x)dx \) と表して \( f(x) \) の不定積分といいます。すなわち、
$$ \int f(x)dx=F(x)+C \quad (C:定数) $$
このとき、 \( f(x) \) を被積分関数、 \( C \) を積分定数といい、 \( f(x) \) の不定積分を求めることを積分するといいます。
\( (x^2)’=2x \) より、
$$ \int 2xdx=x^2+C \quad (C:積分定数) $$
\( x^{\alpha} \) の不定積分
\( \alpha \) を実数とすると、
$$ (x^{\alpha+1})’=(\alpha+1)x^{\alpha}, \quad (\log|x|)’=\frac{1}{x} $$
であるので、次のことがいえます。
$$ \int x^{\alpha}dx=\frac{1}{\alpha+1}x^{\alpha+1}+C, \quad (\alpha\not=-1のとき) $$
$$ \int \frac{1}{x}dx=\log|x|+C, \quad (\alpha=-1のとき) $$
(1) \( \displaystyle \int \frac{1}{x^2} dx \) を計算する。
$$ \begin{align} \int \frac{1}{x^2}dx&=\int x^{-2}dx=\frac{1}{-2+1}x^{-2+1}+C \\ &=-x^{-1}+C=-\frac{1}{x}+C \end{align} $$
(2) \( \displaystyle \int \sqrt[4]{x} dx \) を計算する。
$$ \begin{align} \int \sqrt[4]{x}dx&=\int x^{\frac{1}{4}}dx=\frac{1}{\frac{1}{4}+1}x^{\frac{1}{4}+1}+C \\ &=\frac{4}{5}x^{\frac{5}{4}}+C=\frac{4}{5}x\sqrt[4]{x}+C \end{align} $$
(3) \( \displaystyle \int \frac{1}{\sqrt{x}} dx \) を計算する。
$$ \begin{align} \int \frac{1}{\sqrt{x}}dx&=\int x^{-\frac{1}{2}}dx=\frac{1}{-\frac{1}{2}+1}x^{-\frac{1}{2}+1}+C \\ &=2x^{\frac{1}{2}}+C=2\sqrt{x}+C \end{align} $$
不定積分の性質
不定積分の定数倍、和、差に関して、次が成り立ちます。
(1) $$ \int kf(x)dx=k\int f(x)dx \quad (k:定数) $$
(2) $$ \int \{ f(x)+g(x)\}dx=\int f(x)dx+\int g(x)dx $$
(3) $$ \int \{ f(x)-g(x)\}dx=\int f(x)dx-\int g(x)dx $$
定理2の証明(気になる方だけクリックしてください)
(2)を示します。
(2) \( f(x) \) の原始関数を \( F(x) \) 、 \( g(x) \) の原始関数を \( G(x) \) とすると、
$$ \{ F(x)+G(x) \}’=F'(x)+G'(x)=f(x)+g(x) $$
よって、
$$ \begin{align} \int\{f(x)+g(x)\}dx&= F(x)+G(x) \\ &=\int f(x)dx+\int g(x)dx \end{align} $$
(1) \( \displaystyle \int (5x^2-1) dx \) を計算する。
$$ \begin{align} \int (5x^2-1)dx&=5\int x^{2}dx-\int dx=\frac{5}{3}x^3-x+C \end{align} $$
(2) \( \displaystyle \int \frac{\sqrt[3]{x}+3}{x} dx \) を計算する。
$$ \begin{align} \int \frac{\sqrt[3]{x}+3}{x}dx&=\int (x^{-\frac{2}{3}}+\frac{3}{x})dx=\int x^{-\frac{2}{3}}dx+3\int \frac{1}{x}dx \\ &=3x^{\frac{1}{3}}+3\log|x|+C=3\sqrt[3]{x}+3\log|x|+C \end{align} $$
さまざまな関数の不定積分
三角関数の不定積分
$$ (\cos x)’=-\sin x, \quad (\sin x)’=\cos x $$
$$ (\tan x)’=\frac{1}{\cos^2x}, \quad \left( \frac{1}{\tan x} \right)’=-\frac{1}{\sin^2x} $$
であるので、次のことがいえます。
$$ \int \sin xdx=-\cos x+C, \quad \int \cos xdx=\sin x+C, $$
$$ \int \frac{1}{\cos^2x}dx=\tan x+C, \quad \int \frac{1}{\sin^2 x}dx=-\frac{1}{\tan x}+C. $$
( \( \displaystyle \int \tan xdx \) については後ほど考えます。)
(1) \( \displaystyle \int (1+2\sin x) dx \) を計算する。
$$ \begin{align} \int (1+2\sin x)dx&=\int dx+2\int \sin x dx=x-2\cos x+C \end{align} $$
(2) \( \displaystyle \int \frac{\cos^3x-4}{\cos^2 x} dx \) を計算する。
$$ \begin{align} \int \frac{\cos^3x-4}{\cos^2 x}dx&=\int (\cos x-\frac{4}{\cos^2x})dx \\ &=\int \cos xdx-4\int \frac{1}{\cos^2 x} dx=\sin x-4\tan x+C \end{align} $$
指数関数の不定積分
$$ (e^x)’=e^x, \quad (a^x)’=a^x\log a $$
であるので、次のことがいえます。
$$ \int e^xdx=e^x+C, \quad \int a^xdx=\frac{a^x}{\log a}+C $$
(1) \( \displaystyle \int (2e^x-x^2) dx \) を計算する。
$$ \begin{align} \int (2e^x-x^2)dx&=2\int e^xdx-\int x^2 dx=2e^x-\frac{1}{3}x^3+C \end{align} $$
(2) \( \displaystyle \int (3^x+5^x) dx \) を計算する。
$$ \begin{align} \int (3^x+5^x)dx&=\int 3^xdx+\int 5^x dx=\frac{3^x}{\log 3}+\frac{5^x}{\log 5}+C \end{align} $$
置換積分法と部分積分法
置換積分法
\( \displaystyle F(x)=\int f(x)dx \) とおきます。このとき、 \( x=g(t) \) と表されるならば、 \( F(x)=F(g(t)) \) は \( t \) の関数となります。
これを \( t \) について微分すると、合成関数の微分より、
$$ \frac{d}{dt}F(x)=\frac{d}{dx}F(x)\cdot \frac{dx}{dt}=f(x)g'(t)=f(g(t))g'(t) $$
よって、 \( \displaystyle F(x)=\int f(g(t))g'(t)dt \) となります。
まとめると、次のようになります。
$$ \int f(x)dx=\int f(g(t))g'(t)dt \quad ここで \ x=g(t) $$
また、 \( x \) を \( u \) 、 \( t \) を \( x \) と置き換えると、
$$ \int f(g(x))g'(x)dx=\int f(u)du \quad ここで \ g(x)=u $$
(1) \( \displaystyle \int (5x-1)^3 dx \) を計算する。
\( 5x-1=t \) とおくと、 \( x=\frac{t+1}{5} \)
よって、 \( \frac{dx}{dt}=\frac{1}{5} \) (つまり \( dx=\frac{1}{5}dt \))
したがって、
$$ \displaystyle \begin{align} \int (5x-1)^3dx&=\int t^3\cdot \left( \frac{1}{5}dt \right)=\frac{1}{5}\int t^3 dt \\ &=\frac{1}{20}t^4+C=\frac{1}{20}(5x-1)^4+C \end{align} $$
(2) \( \displaystyle \int x\sqrt{2x-1} dx \) を計算する。
\( \sqrt{2x-1}=t \) とおくと、 \( x=\frac{1}{2}(t^2+1) \)
よって、 \( \frac{dx}{dt}=t \) (つまり \( dx=tdt \))
したがって、
$$ \begin{align} \int x\sqrt{2x-1}dx&=\int \frac{1}{2}(t^2+1)\cdot t\cdot (tdt)=\frac{1}{2}\int (t^4+t^2)dt \\ &=\frac{1}{2}\left( \frac{1}{5}t^5+\frac{1}{3}t^3 \right)+C=\frac{1}{30}t^3(3t^2+5)+C \\ &=\frac{1}{30}(2x-1)\sqrt{2x-1}(3(2x-1)+5)+C \\ &=\frac{1}{15}(2x-1)\sqrt{2x-1}(3x+1)+C \end{align} $$
(3) \( \displaystyle \int 2x\sqrt{x^2+1} dx \) を計算する。
\( 2x=(x^2+1)’ \) より、 \( x^2+1=u \) とおく。
このとき、 \( du=(x^2+1)’dx \) より、
$$ \begin{align} \int 2x\sqrt{x^2+1}dx&=\int \sqrt{x^2+1}\cdot 2xdx \\ &=\int \sqrt{x^2+1}\cdot (x^2+1)’dx \\ &=\int \sqrt{u}du=\frac{2}{3}u^{\frac{3}{2}}+C \\ &=\frac{2}{3}(x^2+1)\sqrt{x^2+1}+C \end{align} $$
(4) \( \displaystyle \int \sin^2x\cos x dx \) を計算する。
\( \cos x=(\sin x)’ \) より、 \( \sin x=u \) とおく。
このとき、 \( du=(\sin x)’dx \) より、
$$ \begin{align} \int \sin^2 x\cos xdx&=\int (\sin^2x)(\sin x)’dx \\ &=\int u^2du=\frac{1}{3}u^3+C \\ &=\frac{1}{3}\sin^3 x+C \end{align} $$
置換積分の公式において、 \( f(u)=\frac{1}{u} \) とおくと、
$$ \begin{align} \int \frac{g'(x)}{g(x)}dx&=\int f(g(x))g'(x)dx=\int f(u)du=\int \frac{1}{u}du \\ &=\log |u|+C=\log|g(x)|+C \end{align} $$
よって、
\( \displaystyle \int \frac{g'(x)}{g(x)}dx=\log|g(x)|+C \tag{1} \)
がいえます。
\( \displaystyle \int \frac{2x}{x^2+5}dx \) を計算する。
$$ \begin{align} \int \frac{2x}{x^2+5}dx&=\int \frac{(x^2+5)’}{x^2+5}dx=\log |x^2+5|+C \\ &=\log(x^2+5)+C \quad (x^2+5>0より) \end{align} $$
\( \tan x \) の不定積分
置換積分の公式から得られる式(1)を用いることにより、 \( \tan x \) の不定積分を求めることができます。
$$ \begin{align} \int \tan xdx&=\int \frac{\sin x}{\cos x}dx=\int \frac{-(\cos x)’}{\cos x}dx=-\log|\cos x|+C \end{align} $$
よって、次が成り立ちます。
$$ \int \tan xdx=-\log|\cos x|+C $$
部分積分法
積の微分公式
$$ \{f(x)g(x)\}’=f'(x)g(x)+f(x)g'(x) $$
より、 \( f'(x)g(x)+f(x)g'(x) \) が \( f(x)g(x) \) の原始関数となります。
よって、
$$ f(x)g(x)=\int f'(x)g(x)dx+\int f(x)g'(x)dx $$
これにより、次のようになります。
$$ \int f(x)g'(x)dx=f(x)g(x)-\int f'(x)g(x)dx $$
\( \displaystyle \int xe^xdx \) を計算する。
\( xe^x=x\cdot (e^x)’ \) と考えると、
$$ \begin{align} \int xe^xdx&=\int x(e^x)’dx=xe^x-\int 1\cdot e^xdx \\ &=xe^x-e^x+C=(x-1)e^x+C \end{align} $$
対数関数の不定積分
部分積分の公式を用いることにより、 \( \log x \) の不定積分を求めることができます。
$$ \log x=(\log x)\cdot 1=(\log x)\cdot (x)’ $$
と考えると、
$$ \begin{align} \int \log xdx&=\int (\log x)\cdot (x)’dx \\ &=(\log x)\cdot x-\int (\log x)’\cdot xdx \\ &=x\log x-\int \frac{1}{x}\cdot x dx \\ &=x\log x-\int dx \\ &=x\log x-x+C \end{align} $$
よって、次が成り立ちます。
$$ \int \log xdx=x\log x-x+C $$
今回はここまでです。お疲れ様でした。また次回にお会いしましょう。