高校数学(数学Ⅲ)10:関数の極大・極小とグラフの概形

こんにちは、ひかりです。

今回は高校数学から関数の極大・極小とグラフの概形について解説していきます。

関数の増減について知りたい方は前回の記事をご覧ください。

この記事では以下のことを紹介します。

  • 関数の極大・極小について
  • 関数のグラフの概形の書き方について
目次

関数の極大・極小

例として、 \( f(x)=x^3-3x^2+1 \) のグラフを考えてみましょう。

この関数は \( x=0 \) を境に増加から減少へと変わります。

このとき、 \( f(x) \) は \( x=0 \) で極大になるといい、そのときの \( f(x) \) の値 \( f(0)=1 \) を極大値といいます。

また、 \( x=2 \) を境に減少から増加へと変わります。

このとき、 \( f(x) \) は \( x=2 \) で極小になるといい、そのときの \( f(x) \) の値 \( f(2)=-3 \) を極小値といいます。

さらに、極大値と極小値を合わせて極値といいます。

きちんと定義すると、次のようになります。

定義1 (極大値・極小値)

関数 \( f(x) \) が \( x=a \) の近くで定義されていて、 \( x=a \) の十分近くでは \( x=a \) を除いて \( f(x)<f(a) \) となるとき、 \( f(x) \) は \( x=a \) において極大になるといい、 \( f(a) \) を極大値とよぶ。

同様に、 \( x=a \) の十分近くでは \( x=a \) を除いて \( f(x)>f(a) \) となるとき、 \( f(x) \) は \( x=a \) において極小になるといい、 \( f(a) \) を極小値とよぶ。

さらに、極大値と極小値を合わせて極値という。

ここで、次が成り立ちます。

定理1 (極値と微分係数の関係)

関数 \( f(x) \) が \( x=a \) において微分可能であり、かつ \( x=a \) において極値をとるならば、 \( f'(a)=0 \)

よって、極大・極小の求め方は 次のようになります。

\( f'(a)=0 \) となる \( x=a \) を境にして

  • \( f'(x) \) が正から負に変われば、 \( f(a) \) は極大値
  • \( f'(x) \) が負から正に変われば、 \( f(a) \) は極小値
例1

(1) \( f(x)=x^3-12x-1 \) の極値を求める。

\( f'(x)=3x^2-12=3(x+2)(x-2) \) より、 \( f'(x)=0 \) となる \( x \) は \( x=-2,2 \)

よって、 \( f(x) \) の増減表は次のようになる。

\( x \)\( \cdots \)\( -2 \)\( \cdots \)\( 2 \)\( \cdots \)
\( f'(x) \)\( + \)\( 0 \)\( – \)\( 0 \)\( + \)
\( f(x) \)\( \nearrow \)\( 15 \)\( \searrow \)\( -17 \)\( \nearrow \)

したがって、

\( x=-2 \) のとき極大で、極大値 \( 15 \)

\( x=2 \) のとき極小で、極小値 \( -17 \)


(2) \( f(x)=\sin x(1+\cos x) \ (0≦ x≦ 2\pi) \) の極値を求める。

$$ \begin{align} f'(x)&=\cos x(1+\cos x)-\sin^2x \\ &=\cos x+\cos^2x-(1-\cos^2x) \\ &=2\cos^2x+\cos x-1=(2\cos x-1)(\cos x+1) \end{align} $$

より、 \( 0≦ x≦ 2\pi \) 上で \( f'(x)=0 \) となる \( x \) は \( \cos x=\frac{1}{2},-1 \) より、 \( x=\frac{\pi}{3},\pi,\frac{5}{3}\pi \)

よって、 \( f(x) \) の増減表は次のようになる。

\( x \)\( 0 \)\( \cdots \)\(\frac{\pi}{3} \)\( \cdots \)\( \pi \)\( \cdots \)\( \frac{5}{3}\pi \)\( \cdots \)\( 2\pi \)
\( f'(x) \)\( + \)\( 0 \)\( – \)\( 0 \)\( – \)\( 0 \)\( + \)
\( f(x) \)\( 0 \)\( \nearrow \)\( \frac{3\sqrt{3}}{4} \)\( \searrow \)\( 0 \)\( \searrow \)\( -\frac{3\sqrt{3}}{4} \)\( \nearrow \)\( 0 \)

したがって、

\( x=\frac{\pi}{3} \) のとき極大で、極大値 \( \frac{3\sqrt{3}}{4} \)

\( x=\frac{5}{3}\pi \) のとき極小で、極小値 \( -\frac{3\sqrt{3}}{4} \)

例1 (2)で \( x=\pi \) は極値ではないことに注意してください。

関数のグラフの概形

曲線の凹凸

\( f'(x) \) の導関数を \( f^{\prime\prime}(x) \) と書いて、2階(2次)導関数といいます。(階はこの字であってます)

\( f^{\prime\prime}(x) \) が \( f(x) \) にどのような影響を与えるのかを見ていきましょう。

前回の記事の定理3を用いると、 \( f'(x) \) の値の増減は \( f^{\prime\prime}(x) \) の値の正負で判定できます。

すなわち、

  • \( f^{\prime\prime}(x)>0 \) となる区間では、\( f'(x) \) の値は増加する。つまり、 \( f(x) \) の接線の傾きが増加する。
  • \( f^{\prime\prime}(x)<0 \) となる区間では、\( f'(x) \) の値は減少する。つまり、 \( f(x) \) の接線の傾きが減少する。

よって、次が成り立ちます。

定理2 (曲線の凹凸)

(1) \( f^{\prime\prime}(x)>0 \) となる区間では、曲線 \( y=f(x) \) は下に凸となる。

(2) \( f^{\prime\prime}(x)<0 \) となる区間では、曲線 \( y=f(x) \) は上に凸となる。

例2

(1) \( y=\log x \) の凹凸を調べる。

\( y’=\frac{1}{x} \) より、 \( y^{\prime\prime}=-\frac{1}{x^2}<0 \)

よって、 \( y=\log x \) は \( x>0 \) で上に凸である。


(2) \( y=x^3-3x+1 \) の凹凸を調べる。

\( y’=3x^2-3 \) より、 \( y^{\prime\prime}=6x \)

よって、

\( x<0 \) のとき \( y^{\prime\prime}<0 \) より、上に凸

\( x>0 \) のとき \( y^{\prime\prime}>0 \) より、下に凸

変曲点

例2 (2)の \( y=x^3-3x+1 \) では、点 \( (0,1) \) の左右で上に凸、下に凸が入れ替わることがわかります。

このように、曲線の凹凸が入れ替わる点を変曲点といいます。

変曲点に関して、一般に次が成り立ちます。

定理3 (変曲点の判定)

\( f(x) \) が2階微分可能であり、 \( f^{\prime\prime}(a)=0 \) であるとき、 \( x=a \) の前後で \( f^{\prime\prime}(x) \) の符号が変われば、曲線 \( y=f(x) \) 上の点 \( (a,f(a)) \) は変曲点である。

グラフの概形の書き方

前回と今回の内容を合わせると、関数のグラフの概形を書くことができます。

グラフを書く手順としては、次のようになります。

  • \( y’, \ y^{\prime\prime} \) を求める。
  • \( y’=0, \ y^{\prime\prime}=0 \) となる \( x \) を求める。
  • 増減表を作る。
  • 極大値・極小値・変曲点を求める。
  • \( \displaystyle \lim_{x\to\infty}y, \ \lim_{x\to-\infty}y \) などを求める。
  • それらをもとに、グラフを作成する。
例3

(1) 関数 \( y=e^{-x^2} \) の増減、極値、グラフの凹凸および変曲点を調べて、そのグラフを書いてみる。

\( y’=-2xe^{-x^2} , \ y^{\prime\prime}=2(2x^2-1)e^{-x^2} \) より、

\( y’=0 \) となる \( x \) は \( x=0 \)

\( y^{\prime\prime}=0 \) となる \( x \) は \( x=-\frac{1}{\sqrt{2}},\frac{1}{\sqrt{2}} \)

よって、増減表をつくると、

\( x \)\( \cdots \)\( -\frac{1}{\sqrt{2}} \)\( \cdots \)\( 0 \)\( \cdots \)\( \frac{1}{\sqrt{2}} \)\( \cdots \)
\( y’ \)\( + \)\( + \)\( + \)\( 0 \)\( – \)\( – \)\( – \)
\( y^{\prime\prime} \)\( + \)\( 0 \)\( – \)\( – \)\( – \)\( 0 \)\( + \)
\( y \)\( \color{red}{⤴} \)\( \frac{1}{\sqrt{e}} \)\( \color{red}{↱} \)\( 1 \)\( \color{red}{⤵} \)\( \frac{1}{\sqrt{e}} \)\( \color{red}{↳} \)

( \( y \) が増加で下に凸のとき ⤴ 、増加で上に凸のとき ↱ (打てないので角ばっていますが本当は曲がった矢印)、減少で上に凸のとき ⤵ 、減少で下に凸のとき ↳ (打てないので角ばっていますが本当は曲がった矢印)と書きます。)

よって、 \( y \) は \( x=0 \) で極大で、極大値 \( 1 \)

極小値はない

また、変曲点は \( (-\frac{1}{\sqrt{2}},\frac{1}{\sqrt{e}}), \ (\frac{1}{\sqrt{2}},\frac{1}{\sqrt{e}}) \)

さらに、 \( \displaystyle \lim_{x\to\infty}e^{-x^2}=0, \ \lim_{x\to-\infty}e^{-x^2}=0 \) である。

よって、グラフは次のように書くことができる。


(2) \( y=\frac{x^2}{x-2} \) のグラフの概形を書く。

\( y \) は \( x=2 \) で定義されないことに注意。

$$ y=\frac{(x-2)(x+2)+4}{x-2}=x+2+\frac{4}{x-2} \tag{1} $$

と変形できる。

よって、

$$ y’=1-\frac{4}{(x-2)^2}=\frac{x(x-4)}{(x-2)^2} $$

$$ y^{\prime\prime}=-4\cdot \frac{-2}{(x-2)^3}=\frac{8}{(x-2)^3} $$

\( y’=0 \) となる \( x \) は \( x=0,4 \)

\( y^{\prime\prime}=0 \) となる \( x \) はない

よって、増減表をつくると、

\( x \)\( \cdots \)\( 0 \)\( \cdots \)\( 2 \)\( \cdots \)\( 4 \)\( \cdots \)
\( y’ \)\( + \)\( 0 \)\( – \)\( \times \)\( – \)\( 0 \)\( + \)
\( y^{\prime\prime} \)\( – \)\( – \)\( – \)\( \times\)\( + \)\( + \)\( + \)
\( y \)\( 0 \)\( \times \)\( 8 \)

よって、 \( y \) は \( x=0 \) で極大で、極大値 \( 0 \)

\( y \) は \( x=4 \) で極小で、極小値 \( 8 \)

変曲点はない

さらに、 \( \displaystyle \lim_{x\to \infty}\frac{4}{x-2}=0, \ \lim_{x\to-\infty}\frac{4}{x-2}=0 \) なので、式(1)より、

$$ \lim_{x\to\infty}(y-(x+2))=0, \ \lim_{x\to-\infty}(y-(x+2))=0 $$

よって、 \( x\to\infty, \ x\to-\infty \) のとき、この曲線は \( y=x+2 \) に近づく。

また、 \( \displaystyle \lim_{x\to 2+0}\frac{x^2}{x-2}=\infty, \ \lim_{x\to 2-0}\frac{x^2}{x-2}=-\infty \) である。

よって、グラフは次のように書くことができる。

今回はここまでです。お疲れ様でした。また次回にお会いしましょう。

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