高校数学(数学Ⅲ)08:積・商・合成関数の微分とさまざまな関数の導関数

こんにちは、ひかりです。

今回は高校数学から積・商・合成関数の微分とさまざまな関数の導関数について解説していきます。

導関数の定義については前回の記事をご覧ください。

この記事では以下のことを紹介します。

  • 積・商の微分について
  • 合成関数の微分について
  • 三角関数の微分について
  • 対数関数・指数関数の微分について
目次

積の微分と商の微分

積の導関数

関数の積の導関数について、次が成り立ちます。

定理1 (積の導関数)

\( f(x), \ g(x) \) を微分可能とすると、 \( f(x)g(x) \) も微分可能であり、

$$ \{ f(x)g(x) \}’=f'(x)g(x)+f(x)g'(x) $$

定理1の証明(気になる方だけクリックしてください)

$$ \begin{align} \{ f(x)g(x) \}’&=\lim_{h\to 0}\frac{f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x)}{h} \\ &=\lim_{h\to0}\frac{f(x+h)g(x+h)\color{red}{-f(x)g(x+h)+f(x)g(x+h)}-f(x)g(x)}{h} \\ &=\lim_{h\to0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}\cdot g(x+h)+\lim_{h\to0}f(x)\cdot \frac{g(x+h)-g(x)}{h} \\ &=f'(x)g(x)+f(x)g'(x) \end{align} $$

例1

\( y=(x^2-3x+5)(2x+1) \) を微分する。

$$ \begin{align} y’&=(x^2-3x+5)’\cdot(2x+1)+(x^2-3x+5)\cdot(2x+1)’ \\ &=(2x-3)(2x+1)+(x^2-3x+5)\cdot 2 \\ &=6x^2-10x+7 \end{align} $$

商の導関数

関数の商の導関数について、次が成り立ちます。

定理2 (商の導関数)

\( f(x), \ g(x) \) を微分可能で \( g(x)\not=0 \) とすると、 \( \frac{f(x)}{g(x)} \) も微分可能であり、

$$ \left\{ \frac{f(x)}{g(x)} \right\}’=\frac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{\{g(x)\}^2} $$

とくに、

$$ \left\{ \frac{1}{g(x)} \right\}’=-\frac{g'(x)}{\{g(x)\}^2} $$

定理2の証明(気になる方だけクリックしてください)

$$ \begin{align} \left\{ \frac{f(x)}{g(x)} \right\}’&=\lim_{h\to 0}\frac{1}{h}\left(\frac{f(x+h)}{g(x+h)}-\frac{f(x)}{g(x)}\right) \\ &=\lim_{h\to0}\frac{1}{h}\left( \frac{f(x+h)g(x)-f(x)g(x+h)}{g(x)g(x+h)} \right) \\ &=\lim_{h\to0}\frac{1}{h}\left( \frac{f(x+h)g(x)\color{red}{-f(x)g(x)+f(x)g(x)}-f(x)g(x+h)}{g(x)g(x+h)}\right) \\ &=\lim_{h\to0}\frac{1}{h}\frac{(f(x+h)-f(x))g(x)+f(x)(g(x)-g(x+h))}{g(x)g(x+h)} \\ &=\lim_{h\to0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}\cdot \frac{g(x)}{g(x)g(x+h)}-\lim_{h\to0}\frac{f(x)}{g(x)g(x+h)}\cdot \frac{g(x+h)-g(x)}{h} \\ &=f'(x)\cdot\frac{g(x)}{\{g(x)\}^2}-\frac{f(x)}{\{g(x)\}^2}\cdot g'(x)=\frac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{\{g(x)\}^2} \end{align} $$

例2

(1) \( y=\frac{1}{2x+3} \) を微分する。

$$ \left( \frac{1}{2x+3} \right)’=-\frac{(2x+3)’}{(2x+3)^2}=-\frac{2}{(2x+3)^2} $$


(2) \( y=\frac{3x+2}{x^2-1} \) を微分する。

$$ \begin{align} \left( \frac{3x+2}{x^2-1} \right)’&=\frac{(3x+2)’\cdot(x^2-1)-(3x+2)\cdot (x^2-1)’}{(x^2-1)^2} \\ &=\frac{3(x^2-1)-(3x+2)\cdot 2x}{(x^2-1)^2} \\ &=-\frac{3x^2+4x+3}{(x^2-1)^2} \end{align} $$

商の微分を用いると、 \( n \) が整数のときの \( x^n \) の導関数を求めることができます。

(前回の記事では \( n \) が正の整数のときを扱いました。)

\( n \) が負の整数のとき、 \( n=-m \) とおくと \( m \) は正の整数であるので、

$$ \begin{align} (x^n)’&=\left( \frac{1}{x^m} \right)’=-\frac{(x^m)’}{(x^m)^2}=-\frac{mx^{m-1}}{x^{2m}}=-mx^{-m-1}=nx^{n-1} \end{align} $$

よって、次が成り立ちます。

定理3 ( \( x^n \) の導関数)

\( n \) が整数のとき、 \( (x^n)’=nx^{n-1} \)

例3

\( y=\frac{x^3-5x^2+4}{x^3} \) を微分する。

\( y=x-5+4x^{-2} \) より、

$$ y’=1-0+4\cdot (-2)x^{-3}=1-\frac{8}{x^3} $$

合成関数の微分と逆関数の微分

合成関数の導関数

合成関数の導関数について、次が成り立ちます。

定理4 (合成関数の導関数)

\( y=f(u) \) と \( u=g(x) \) がともに微分可能ならば、合成関数 \( y=f(g(x)) \) も微分可能であり、

$$ \{ f(g(x)) \}’=f'(g(x))g'(x) $$

いいかえると、

$$ \frac{dy}{dx}=\frac{dy}{du}\cdot\frac{du}{dx} $$

定理4の証明(気になる方だけクリックしてください)

$$ \begin{align} \{ f(g(x)) \}’&=\lim_{h\to 0}\frac{f(g(x+h))-f(g(x))}{h} \\ &=\lim_{h\to0}\frac{f(g(x+h))-f(g(x))}{\color{red}{g(x+h)-g(x)}}\cdot \lim_{h\to0}\frac{\color{red}{g(x+h)-g(x)}}{h} \end{align} $$

ここで、 \( k=g(x+h)-g(x) \) とおくと、

$$ \begin{align} &f(g(x+h))-f(g(x)) \\ =&f(\color{red}{g(x)}+(g(x+h)\color{red}{-g(x)}))-f(g(x)) \\ =& f(g(x)+k)-f(g(x)) \end{align} $$

よって、

$$ \lim_{h\to0}\frac{f(g(x+h))-f(g(x))}{g(x+h)-g(x)}=\lim_{h\to0}\frac{f(g(x)+k)-f(g(x))}{k}=(*) $$

\( h\to 0 \) のとき、 \( k=g(x+h)-g(x)\to0 \) なので、

$$ (*)=\lim_{k\to0}\frac{f(g(x)+k)-f(g(x))}{k}=f'(g(x)) $$

まとめると、

$$ \{ f(g(x)) \}’=f'(g(x))\cdot g'(x) $$

正確には、 \( k=0 \) となる場合も考えなければなりませんが、ここでは省略します。

例4

(1) \( y=(x^2+3)^5 \) を微分する。

\( f(u)=u^5, \ g(x)=x^2+3 \) とおくと、 \( y=f(g(x)) \)となる。よって、

$$ \begin{align} y’&=\{ f(g(x)) \}’=f'(g(x))\cdot g'(x) \\ &=5(x^2+3)^4\cdot 2x=10x(x^2+3)^4 \end{align} $$


(2) \( y=(x^2-5x+2)^4 \) を微分する。

\( f(u)=u^4, \ g(x)=x^2-5x+2 \) とおくと、 \( y=f(g(x)) \)となる。よって、

$$ \begin{align} y’&=\{ f(g(x)) \}’=f'(g(x))\cdot g'(x) \\ &=4(x^2-5x+2)^3(2x-5) \end{align} $$

逆関数の導関数

合成関数の微分を用いると、逆関数の導関数について次が成り立ちます。

定理5 (逆関数の導関数)

微分可能な関数 \( y=f(x) \) が逆関数 \( x=f^{-1}(y) \) をもつとき、

$$ (f^{-1})'(y)=\frac{1}{f'(x)} $$

いいかえると、

$$ \frac{dx}{dy}=\frac{1}{\frac{dy}{dx}} $$

定理5の証明(気になる方だけクリックしてください)

合成関数の微分と \( f^{-1}(f(x))=x \) より、

$$ x’=\{ f^{-1}(f(x)) \}’=(f^{-1})'(f(x))\cdot f'(x)=(f^{-1})'(y)\cdot f'(x) $$

したがって、

$$ (f^{-1})'(y)=\frac{x’}{f'(x)}=\frac{1}{f'(x)} $$

例5

\( y=\sqrt{x} \) を微分する。

\( y=\sqrt{x} \) より、 \( x=y^2 \) なので、

$$ \frac{d}{dx}(\sqrt{x})=\frac{1}{\frac{d}{dy}(y^2)}=\frac{1}{2y}=\frac{1}{2\sqrt{x}} $$

\( x^{\frac{m}{n}} \) の導関数

\( n \) を正の整数、 \( m \) を整数として、 \( y=x^{\frac{m}{n}} \) を微分することを考えます。

両辺 \( n \) 乗すると、 \( y^n=x^m \)

両辺 \( x \) で微分すると、

$$ \frac{d}{dx}y^n=\frac{d}{dx}x^m=mx^{m-1} \quad (m\text{は整数なので計算できます}) $$

一方で、合成関数の微分より、

$$ \frac{d}{dx}y^n=\frac{d}{dy}y^n\cdot \frac{dy}{dx}=ny^{n-1}\cdot \frac{dy}{dx} $$

よって、 \( ny^{n-1}\frac{dy}{dx}=mx^{m-1} \)

したがって、

$$ \begin{align} \frac{dy}{dx}&=\frac{mx^{m-1}}{ny^{n-1}}=\frac{m}{n}\frac{x^{m-1}}{(x^{\frac{m}{n}})^{n-1}}=\frac{m}{n}\frac{x^{m-1}}{x^{m-\frac{m}{n}}}=\frac{m}{n}x^{\frac{m}{n}-1} \end{align} $$

\( \frac{m}{n}=r \) とおくことにより、指数が有理数の場合の \( x^r \) の導関数が得られます。

定理6 ( \( x^r \) の導関数)

\( r \) が有理数のとき、 \( (x^r)’=rx^{r-1} \)

例6

(1) \( y=x\sqrt[4]{x} \) を微分する。

\( y=x^{\frac{5}{4}} \) より、

$$ y’=\frac{5}{4}x^{\frac{5}{4}-1}=\frac{5}{4}x^{\frac{1}{4}}=\frac{5\sqrt[4]{x}}{4} $$


(2) \( y=\frac{1}{\sqrt{x^2-2x}} \) を微分する。

$$ \begin{align} y’&=\{ (x^2-2x)^{-\frac{1}{2}} \}’=-\frac{1}{2}(x^2-2x)^{-\frac{3}{2}}\cdot (x^2-2x)’ \\ &=-\frac{1}{2}\frac{2x-2}{\sqrt{(x^2-2x)^3}}=-\frac{x-1}{\sqrt{(x^2-2x)^3}} \end{align} $$

三角関数の微分

三角関数の和と積の公式

まず、三角関数の導関数を求めるのに必要となる三角関数の和と積の公式を紹介していきます。

定理7 (三角関数の和と積の公式)

(1) $$ \sin\alpha\cos\beta=\frac{1}{2}\{\sin(\alpha+\beta)+\sin(\alpha-\beta)\} $$

(2) $$ \cos\alpha\sin\beta=\frac{1}{2}\{\sin(\alpha+\beta)-\sin(\alpha-\beta)\} $$

(3) $$ \cos\alpha\cos\beta=\frac{1}{2}\{\cos(\alpha+\beta)+\cos(\alpha-\beta)\} $$

(4) $$ \sin\alpha\sin\beta=-\frac{1}{2}\{\cos(\alpha+\beta)-\cos(\alpha-\beta)\} $$

(5) $$ \sin A+\sin B=2\sin\frac{A+B}{2}\cos\frac{A-B}{2} $$

(6) $$ \sin A-\sin B=2\cos\frac{A+B}{2}\sin\frac{A-B}{2} $$

(7) $$ \cos A+\cos B=2\cos\frac{A+B}{2}\cos\frac{A-B}{2} $$

(8) $$ \cos A-\cos B=-2\sin\frac{A+B}{2}\sin\frac{A-B}{2} $$

定理7の証明(気になる方だけクリックしてください)

(1)と(5)のみ示します。

(1) 加法定理より、

$$ \begin{align} &\sin(\alpha+\beta)+\sin(\alpha-\beta) \\ =&(\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta)+(\sin\alpha\cos\beta-\cos\alpha\sin\beta) \\ =&2\sin\alpha\cos\beta \end{align} $$

よって、 \( \sin\alpha\cos\beta=\frac{1}{2}\{\sin(\alpha+\beta)+\sin(\alpha-\beta)\} \)


(5) (1)で \( \alpha+\beta=A, \ \alpha-\beta=B \) とおくと、 \( \alpha=\frac{A+B}{2}, \ \beta=\frac{A-B}{2} \) より、

$$ \sin\frac{A+B}{2}\cos\frac{A-B}{2}=\frac{1}{2}\{ \sin A+\sin B\} $$

よって、 \( \sin A+\sin B=2\sin\frac{A+B}{2}\cos\frac{A-B}{2} \)

三角関数の導関数

準備が整ったので、三角関数 \( \sin x, \ \cos x, \ \tan x \) の導関数を求めていきます。

$$ \begin{align} (\sin x)’&=\lim_{h\to0}\frac{\sin (x+h)-\sin x}{h} \\ &\overset{\text{定理7} \ (6)}{=}\lim_{h\to0}\frac{2\cos\left(x+\frac{h}{2}\right)\sin\frac{h}{2}}{h} \\ &=\lim_{h\to0}\cos\left(x+\frac{h}{2}\right)\cdot\frac{\sin\frac{h}{2}}{\frac{h}{2}} \\ &=\cos x \quad (\lim_{\theta\to0}\frac{\sin\theta}{\theta}=1 \ \text{に注意}) \end{align} $$

$$ \begin{align} (\cos x)’&=\lim_{h\to0}\frac{\cos (x+h)-\cos x}{h} \\ &\overset{\text{定理7} \ (8)}{=}\lim_{h\to0}\frac{-2\sin\left(x+\frac{h}{2}\right)\sin\frac{h}{2}}{h} \\ &=\lim_{h\to0}-\sin\left(x+\frac{h}{2}\right)\cdot\frac{\sin\frac{h}{2}}{\frac{h}{2}} \\ &=-\sin x \quad (\lim_{\theta\to0}\frac{\sin\theta}{\theta}=1 \ \text{に注意}) \end{align} $$

$$ \begin{align} (\tan x)’&=\left( \frac{\sin x}{\cos x} \right)’\overset{\text{商の微分}}{=}\frac{(\sin x)’\cos x-\sin x(\cos x)’}{\cos^2 x} \\ &=\frac{\cos^2x+\sin^2x}{\cos^2x}=\frac{1}{\cos^2x} \end{align} $$

まとめると、次が成り立ちます。

定理8 (三角関数の導関数)

$$ (\sin x)’=\cos x, \quad (\cos x)’=-\sin x, \quad (\tan x)’=\frac{1}{\cos^2x} $$

例7

(1) \( y=\sin\left( 3x-\frac{\pi}{6} \right) \) を微分する。

$$ \begin{align} \left\{ \sin\left( 3x-\frac{\pi}{6} \right) \right\}’&\overset{\text{合成関数の微分}}{=}\cos\left( 3x-\frac{\pi}{6}\right)\cdot \left( 3x-\frac{\pi}{6} \right)’ \\ &=3\cos\left( 3x-\frac{\pi}{6}\right) \end{align} $$


(2) \( y=\tan^2x \) を微分する。

$$ (\tan^2x)’=2\tan x\cdot(\tan x)’=\frac{2\tan x}{\cos^2 x} $$


(3) \( y=\sin^22x \) を微分する。

\( u=\sin 2x \) とおくと、 \( y=u^3 \)

$$ \begin{align} y’&=\frac{dy}{du}\cdot\frac{du}{dx}=3u^2\cdot (\sin 2x)’=3u^2\cos 2x\cdot (2x)’ \\ &=6\sin^22x\cos x \end{align} $$

対数関数・指数関数の微分

ネイピア数eと自然対数

対数関数の導関数を考える前に、対数関数 \( \log_ax \) の \( x=1 \) での微分係数を考えます。

$$ \begin{align} \lim_{h\to 0}\frac{\log_a(1+h)-\log_a1}{h}&=\lim_{h\to0}\frac{1}{h}\log_a(1+h) \\ &=\lim_{h\to0}\log_a(1+h)^{\frac{1}{h}} \end{align} $$

このとき、 \( \displaystyle \lim_{h\to0}(1+h)^{\frac{1}{h}} \) は存在することが知られています。

その値を \( e \) と表し、ネイピア数もしくはオイラー数といいます。(\( e=2.71828\cdots \) となります。)

定義1 (ネイピア数 \( e \) )

$$ \lim_{h\to0}(1+h)^{\frac{1}{h}}=e $$

これを用いると、求めたかった \( \displaystyle \lim_{h\to0}\log_a(1+h)^{\frac{1}{h}} \) は

$$ \lim_{h\to0}\log_a(1+h)^{\frac{1}{h}}=\log_ae $$

ここで、 \( a=e \) とおくと、

$$ \lim_{h\to0}\log_e(1+h)^{\frac{1}{h}}=\log_ee=1 $$

となり、 \( e \) は対数関数 \( \log_ax \) の \( x=1 \) での微分係数が1となるような底というふうにも捉えることができます。

また、底が \( e \) である対数 \( \log_ex \) を自然対数といい、単に \( \log x \) と書きます。

自然対数を \( \ln x \) と書くこともあります。

対数関数の導関数

まず、自然対数 \( \log x \) の導関数を求めます。対数の差の公式を用いると、

$$ \begin{align} (\log x)’&=\lim_{h\to0}\frac{\log(x+h)-\log x}{h}=\lim_{h\to0}\frac{1}{h}\log\left( \frac{x+h}{x} \right) \\ &=\lim_{h\to0}\frac{1}{h}\log\left(1+\frac{h}{x}\right)=(*) \end{align} $$

\( k=\frac{h}{x} \) とおくと、 \( h\to 0 \) のとき \( k\to 0 \) なので、

$$ \begin{align} (*)&=\lim_{k\to0}\frac{1}{xk}\log(1+k)=\frac{1}{x}\lim_{k\to0}\log(1+k)^{\frac{1}{k}} \\ &=\frac{1}{x}\log e=\frac{1}{x} \end{align} $$

よって、 \( (\log x)’=\frac{1}{x} \) となります。

また、一般の対数関数 \( \log_ax \) の導関数は、底の変換公式を用いることにより、

$$ (\log_ax)’=\left( \frac{\log x}{\log a} \right)’=\frac{1}{x\log a} $$

まとめると、次が成り立ちます。

定理9 (対数関数の導関数)

$$ (\log x)’=\frac{1}{x}, \quad (\log_ax)’=\frac{1}{x\log a} $$

例8

(1) \( y=\log (3x+2) \) を微分する。

$$ y’=\frac{1}{3x+2}\cdot(3x+2)’=\frac{3}{3x+2} $$


(2) \( y=x^2\log x \) を微分する。

$$ \begin{align} y’&=(x^2)’\log x+x^2(\log x)’ \\ &=2x\log x+x^2\cdot \frac{1}{x}=2x\log x+x \end{align} $$


(3) \( y=\log_3x \) を微分する。

$$ y’=\frac{1}{x\log 3} $$

また、 \( x<0 \) のとき、 \( y=\log |x| \) を微分すると、

$$ y’=\{ \log |x| \}’=\{ \log(-x) \}’=\frac{(-x)’}{-x}=\frac{1}{x} $$

\( \log_a|x| \) についても微分すると、

$$ (\log_a|x|)’=\left( \frac{\log |x|}{\log a} \right)’=\frac{1}{x\log a} $$

よって、 \( x>0 \) の場合と合わせて、次が成り立ちます。

定理10 (対数関数の導関数2)

$$ (\log |x|)’=\frac{1}{x}, \quad (\log_a|x|)’=\frac{1}{x\log a} $$

例9

(1) \( y=\log|4x+5| \) を微分する。

\( f(u)=\log|u|, \ g(x)=4x+5 \) とおくと、 \( y=f(g(x)) \)となる。よって、

$$ y’=\frac{(4x+5)’}{4x+5}=\frac{4}{4x+5} $$


(2) \( y=\log_2|5x+3| \) を微分する。

$$ y’=\frac{(5x+3)’}{(5x+3)\log 2}=\frac{5}{(5x+3)\log 2} $$

対数微分法

対数をとってから微分をすると、計算が簡単になる場合があります。

関数 \( y=f(x) \) が微分可能とします。

両辺に対数 \( \log \) をとると、 \( \log|y|=\log|f(x)| \)

よって、左辺を微分すると、合成関数の微分から次が成り立ちます。

$$ (\log|y|)’=\frac{d}{dy}\log|y|\cdot \frac{dy}{dx}=\frac{1}{y}\cdot y’ $$

よって、 \( \displaystyle (\log|y|)’=\frac{y’}{y} \) がいえます。

このような導関数 \( y’ \) の求め方を対数微分法といいます。

例10

\( y=\frac{(x-2)^2}{x+1} \) を微分する。

両辺に対数をとると、

$$ \log|y|=\log\frac{|x-2|^2}{|x+1|}=2\log|x-2|-\log|x+1| $$

よって、

$$ \begin{align} \frac{y’}{y}&=(\log|y|)’=\frac{2(x-2)’}{x-2}-\frac{(x+1)’}{x+1}=\frac{2}{x-2}-\frac{1}{x+1} \\ &=\frac{2(x+1)-(x-2)}{(x-2)(x+1)}=\frac{x+4}{(x-2)(x+1)} \end{align} $$

したがって、

$$ \begin{align} y’&=y\cdot \frac{x+4}{(x-2)(x+1)}=\frac{(x-2)^2}{x+1}\frac{x+4}{(x-2)(x+1)} \\ &=\frac{(x-2)(x+4)}{(x+1)^2} \end{align} $$

指数関数の導関数

指数関数 \( y=a^x \) の導関数を求めます。

両辺に対数をとると、

$$ \log y=\log a^x=x\log a $$

よって、

$$ \frac{y’}{y}=(x\log a)’=\log a $$

したがって、

$$ (a^x)’=y’=y\log a=a^x\log a $$

とくに、 \( a=e \) とすると、

$$ (e^x)’=e^x\log e=e^x $$

まとめると、次が成り立ちます。

定理11 (指数関数の導関数)

$$ (e^x)’=e^x, \quad (a^x)’=a^x\log a $$

例11

(1) \( y=2^x \) を微分する。

$$ (2^x)’=2^x\log 2 $$


(2) \( y=e^{5x} \) を微分する。

$$ (e^{5x})’=e^{5x}\cdot(5x)’=5e^{5x} $$


(3) \( y=e^{x^2} \) を微分する。

$$ (e^{x^2})’=e^{x^2}\cdot(x^2)’=2xe^{x^2} $$


(4) \( y=xe^{-x} \) を微分する。

$$ \begin{align} (xe^{-x})’&=(x)’e^{-x}+x\cdot (e^{-x})’ \\ &=e^{-x}+x(-e^{-x})=(1-x)e^{-x} \end{align} $$

\( x^{\alpha} \) の導関数

最後に対数微分法を用いて、任意の実数 \( \alpha \) に対して、 \( y=x^{\alpha} \ (x>0) \) を求めます。

両辺に対数をとると、

$$ \log y=\log x^{\alpha}=\alpha \log x $$

よって、

$$ \frac{y’}{y}=(\alpha\log x)’=\frac{\alpha}{x} $$

したがって、

$$ y’=\frac{\alpha y}{x}=\frac{\alpha x^{\alpha}}{x}=\alpha x^{\alpha-1} $$

よって、次が成り立ちます。

定理12 ( \( x^{\alpha} \) の導関数)

\( \alpha \) が実数のとき、 \( (x^{\alpha})’=\alpha x^{\alpha-1} \)

例12

(1) \( y=(5x)^{\sqrt{2}} \) を微分する。

$$ \{(5x)^{\sqrt{2}}\}’=\sqrt{2}(5x)^{\sqrt{2}-1}\cdot (5x)’=5\sqrt{2}(5x)^{\sqrt{2}-1} $$


(2) \( y=x^{\alpha}e^{-x} \) を微分する。

$$ \begin{align} (x^{\alpha}e^{-x})’&=(x^{\alpha})’e^{-x}+x^{\alpha}\cdot (e^{-x})’ \\ &=\alpha x^{\alpha-1}e^{-x}+x^{\alpha}(-e^{-x}) \\ &=(\alpha-x)x^{\alpha-1}e^{-x} \end{align} $$

今回はここまでです。お疲れ様でした。また次回にお会いしましょう。

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