高校数学(数学Ⅲ)04:数列の極限と無限級数

こんにちは、ひかりです。

今回は高校数学から数列の極限と無限級数について解説していきます。

この記事では以下のことを紹介します。

  • 数列の極限とその性質について
  • 無限等比数列について
  • 無限級数と無限等比級数について
  • 無限級数の和の性質と収束条件について
目次

数列の極限とその性質

数列の収束と発散

項が限りなく続く数列 \( a_1,a_2,\cdots \) を無限数列といい、 \( \{ a_n \} \) と表します。

\( a_n \) をその第 \( n \) 項といい、 \( a_n \) を \( n \) の式で表したものを数列 \( \{ a_n \} \) の一般項といいます。

ここで、数列 \( \{a_n \} \) の \( n \) が大きくなるにつれて \( a_n \) の値がどのように変化するのかについて考えます。

例1

(1) 数列 \( \left\{ \frac{1}{n} \right\} \)、すなわち数列

$$ 1, \ \frac{1}{2}, \ \frac{1}{3}, \ \frac{1}{4}, \ \frac{1}{5}, \ \frac{1}{6}, \cdots $$

は、 \( n \) が限りなく大きくなるとき、第 \( n \) 項は限りなく \( 0 \) に近づいていく。


(2) 数列 \( \left\{ \left( -\frac{1}{2} \right)^{n-1} \right\} \)、すなわち数列

$$ 1, \ -\frac{1}{2}, \ \frac{1}{4}, \ -\frac{1}{8}, \ \frac{1}{16}, \ -\frac{1}{32}, \cdots $$

は、 \( n \) が限りなく大きくなるとき、第 \( n \) 項は限りなく \( 0 \) に近づいていく。

この例をもとにして、次を定義します。

定義1 (数列の収束と極限値)

数列 \( \{ a_n \} \) において、 \( n \) が限りなく大きくなるにつれて、 \( a_n \) が一定の値 \( \alpha \) に限りなく近づくとき、数列 \( \{ a_n \} \) は \( \alpha \) に収束するといい、 \( \alpha \) を数列 \( \{ a_n \} \) の極限値という。

また、数列 \( \{ a_n \} \) の極限値が \( \alpha \) であるとき、次のように書く。

$$ \lim_{n\to\infty}a_n=\alpha \quad \text{または} \quad a_n\to \alpha \ (n\to \infty) $$

例2

例1の結果を \( \lim \) の形で表すと、次のようになる。

(1) \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}\frac{1}{n}=0 \)


(2) \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}\left(-\frac{1}{2}\right)^{n-1}=0 \)

一方で、数列 \( \{ a_n \} \) が収束しないとき、 \( \{ a_n \} \) は発散するといいます。

例3

(1) 数列 \( \left\{ \frac{n+1}{2} \right\} \)、すなわち数列

$$ 1, \ \frac{3}{2}, \ 2, \ \frac{5}{2}, \ 3, \ \frac{7}{2}, \cdots $$

は、 \( n \) が限りなく大きくなるとき、第 \( n \) 項も限りなく大きくなっていく。

つまり、どこにも収束しないので、この数列は発散する。


(2) 数列 \( \left\{ -2^{n-1} \right\} \)、すなわち数列

$$ -1, \ -2, \ -4, \ -8, \ -16, \ -32, \cdots $$

は、 \( n \) が限りなく大きくなるとき、第 \( n \) 項は限りなく小さくなっていく。

言い換えると、第 \( n \) 項は負でありその絶対値 \( |-2^{n-1}| \) が限りなく大きくなっていく。

つまり、どこにも収束しないので、この数列は発散する。

この例をもとにして、次を定義します。

定義2 (数列の発散)

(1) 数列 \( \{ a_n \} \) において、 \( n \) が限りなく大きくなるにつれて、 \( a_n \) が限りなく大きくなるとき、数列 \( \{ a_n \} \) は正の無限大に発散するといい、次のように書く。

$$ \lim_{n\to\infty}a_n=\infty \quad \text{または} \quad a_n\to \infty \ (n\to \infty) $$

(2) 数列 \( \{ a_n \} \) において、 \( n \) が限りなく大きくなるにつれて、 \( a_n \) が負でありその絶対値 \( |a_n| \) が限りなく大きくなるとき、数列 \( \{ a_n \} \) は負の無限大に発散するといい、次のように書く。

$$ \lim_{n\to\infty}a_n=-\infty \quad \text{または} \quad a_n\to -\infty \ (n\to \infty) $$

例4

例3の結果を \( \lim \) の形で表すと、次のようになる。

(1) \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}\frac{n+1}{2}=\infty \)


(2) \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}(-2^{n-1})=-\infty \)

また、収束もしない、正の無限大や負の無限大にも発散しない数列を振動するといいます。

振動する数列 \( \{ a_n \} \) については、 \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}a_n \) は存在しません。

例5

次の数列は振動する数列となる。

$$ -1, \ 1, \ -1, \ 1, \ -1, \ \cdots, \ (-1)^n, \ \cdots $$

数列の極限の性質

収束する数列の極限値に関して、次が成り立ちます。

定理1 (数列の極限値と四則演算)

数列 \( \{a_n\},\{b_n\} \) が収束して、 \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}a_n=\alpha, \ \lim_{n\to\infty}b_n=\beta \) のとき、次が成り立つ。

(1) \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}ka_n=k\alpha \quad (k\text{は定数}) \)

(2) \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}(a_n+b_n)=\alpha+\beta \)

   \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}(a_n-b_n)=\alpha-\beta \)

(3) \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}a_nb_n=\alpha\beta \)

(4) \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}\frac{a_n}{b_n}=\frac{\alpha}{\beta} \quad (\beta\not=0) \)

例6

\( \displaystyle \lim_{n\to\infty}a_n=-3, \ \lim_{n\to\infty}b_n=4 \) のとき、

(1) \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}(2a_n+5b_n) \) を計算する。

$$ \begin{align} \lim_{n\to\infty}(2a_n+5b_n)&=2\lim_{n\to\infty}a_n+5\lim_{n\to\infty}b_n \\ &=2\times(-3)+5\times 4=14 \end{align} $$


(2) \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}a_nb_n \) を計算する。

$$ \lim_{n\to\infty}a_nb_n=\lim_{n\to\infty}a_n\cdot\lim_{n\to\infty}b_n=(-3)\times4=-12 $$

また、数列の極限値の大小関係について、次が成り立ちます。

定理2 (数列の極限値と大小関係)

(1) 数列 \( \{ a_n \},\{ b_n \} \) がそれぞれ \( \alpha,\beta \) に収束するとき、 \( a_n≦ b_n \ (n=1,2,\cdots) \) ならば、 \( \alpha≦\beta \)

(2) (はさみうちの原理)

数列 \( \{a_n\},\{b_n\},\{c_n\} \) に対して、

$$ a_n≦ b_n≦ c_n \ (n=1,2,\cdots) $$

かつ \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}a_n=\lim_{n\to\infty}c_n=\alpha \) ならば、数列 \( \{b_n\} \) も収束して、

$$ \displaystyle \lim_{n\to\infty}b_n=\alpha $$

(1)で \( a_n<b_n \ (n=1,2,\cdots) \) であったとしても、 \( \alpha<\beta \) とはならず \( \alpha=\beta \) となる場合があることに注意してください。

例7

(1) \( a_n=1-\frac{1}{n}, \ b_n=1+\frac{2}{n} \) とすると、

$$ a_n< b_n \ (n=1,2,\cdots) $$

であるが、

$$ \alpha=\lim_{n\to\infty}a_n=1, \quad \beta=\lim_{n\to\infty}b_n=1 $$

となり、 \( \alpha=\beta \) となる。


(2) \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}\frac{1}{n}\sin n\theta \) を計算する。

\( -1≦ \sin n\theta≦ 1 \) より、

$$ -\frac{1}{n}≦ \frac{1}{n}\sin n\theta≦ \frac{1}{n} $$

ここで、 \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}\left(-\frac{1}{n}\right)=0, \ \lim_{n\to\infty}\frac{1}{n}=0 \) であるので、はさみうちの原理より、

$$ \lim_{n\to\infty}\frac{1}{n}\sin n\theta=0 $$

無限等比数列

数列 \( a, \ ar, \ ar^2, \ \cdots, \ ar^{n-1}, \ \cdots \) を初項 \( a \) 、公比 \( r \) の無限等比数列といいます。

ここでは、無限等比数列 \( \{r^n\} \) の極限について見ていきましょう。

STEP
\( r>1 \ \text{のとき} \)

\( r=1+h \) とおくと、 \( h>0 \) であるので、両辺 \( n \) 乗すると

$$ r^n=(1+h)^n $$

二項定理を用いてこの式の右辺を展開すると、

$$ \begin{align} (1+h)^n&={}_nC_0+{}_nC_1h+{}_nC_2h^2+\cdots+{}_nC_nh^n \\ &=1+nh+\frac{n(n-1)}{2}h^2+\cdots+h^n \end{align} $$

右辺の各項は \( 0 \) 以上であるので、

$$ (1+h)^n≧ 1+nh $$

が任意の自然数 \( n \) について成り立ちます。

さらに、 \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}(1+nh)=\infty \) であるので、

$$ \lim_{n\to\infty}r^n=\lim_{n\to\infty}(1+h)^n=\infty $$

STEP
\( r=1 \ \text{のとき} \)

すべての \( n \) に対して、 \( r^n=1^n=1 \) であるので、

$$ \lim_{n\to\infty}r^n=1 $$

STEP
\( -1<r<1 \ \text{のとき} \)

(i) \( 0<r<1 \) ならば \( \frac{1}{r}>1 \) であるので、STEP 1より、

$$ \lim_{n\to\infty}\frac{1}{r^n}=\lim_{n\to\infty}\left( \frac{1}{r} \right)^n=\infty $$

したがって、

$$ \lim_{n\to\infty}r^n=\lim_{n\to\infty}\frac{1}{\frac{1}{r^n}}=0 $$

(ii) \( r=0 \) ならば、すべての \( n \) に対して \( r^n=0 \) であるので、

$$ \lim_{n\to\infty}r^n=0 $$

(iii) \( -1<r<0 \) ならば、 \( 0<|r|<1 \) であるので、

$$ \lim_{n\to\infty}|r^n|=\lim_{n\to\infty}|r|^n=0 $$

したがって、

$$ \lim_{n\to\infty}r^n=0 $$

STEP
\( r≦ -1 \ \text{のとき} \)

(i) \( r=-1 \) のときは \( r^n=(-1)^n \) であるので、例5より \( \{r^n\} \) は振動します。

(ii) \( r<-1 \) ならば、STEP 1より、 \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}|r^n|=\infty \) となるが、項の符号は交互に変わるので、 \( \{r^n\} \) は振動します。

よって、まとめると次のことがいえます。

定理3 (\( \{r^n\} \) の極限)

(1) \( r>1 \) のとき \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}r^n=\infty \)

(2) \( r=1 \) のとき \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}r^n=1 \)

(3) \( -1<r<1 \) のとき \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}r^n=0 \)

(4) \( r≦-1 \) のとき \( \{r^n\} \) は振動するので、 \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}r^n \) は存在しない。

例8

(1) 無限等比数列

$$ 6, \ 12, \ 24, \ 48, \ \cdots $$

は、一般項が \( 3\cdot2^n \) であり、公比が \( r=2>1 \) であるので、正の無限大に発散する。


(2) 無限等比数列

$$ \frac{2}{3}, \ \frac{4}{9}, \ \frac{8}{27}, \ \frac{16}{81}, \ \cdots $$

は、一般項が \( (\frac{2}{3})^n \) であり、公比 \( r=\frac{2}{3} \) は \( -1<r<1 \) であるので、

$$ \lim_{n\to\infty}\left(\frac{2}{3}\right)^n=0 $$

無限級数と無限等比級数

無限級数の収束と発散

無限数列 \( \{ a_n \} \) が与えられたとき、

$$ a_1+a_2+a_3+\cdots+a_n+\cdots $$

無限級数といい、 \( a_n \) をこの無限級数の第 \( n \) 項といいます。

この無限級数を和の記号 \( \sum \) を用いて \( \displaystyle \sum_{n=1}^{\infty}a_n \) と表します。

また、無限級数 \( \displaystyle \sum_{n=1}^{\infty}a_n \) において、初項から第 \( n \) 項までの和を \( S_n \) と表します。すなわち、

$$ S_n=\sum_{k=1}^na_k=a_1+a_2+\cdots+a_n $$

これをこの無限級数の第 \( n \) 項までの部分和といいます。

この部分和で作られる数列 \( \{ S_n\} \) が収束して、その極限値が \( S \) であるとき、すなわち、

$$ \lim_{n\to\infty}S_n=\lim_{n\to\infty}\sum_{k=1}^na_k=S $$

であるとき、無限級数 \( \displaystyle \sum_{n=1}^{\infty}a_n \) は \( S \) に収束するといい、 \( S \) をこの無限級数のといいます。

このとき、 \( \displaystyle \sum_{n=1}^{\infty}a_n=S \) と書きます。

また、数列 \( \{ S_n \} \) が発散するとき、無限級数 \( \displaystyle \sum_{n=1}^{\infty}a_n \) は発散するといいます。

例9

(1) 次の無限級数の和を求める。

$$ \frac{1}{1\cdot2}+\frac{1}{2\cdot3}+\cdots+\frac{1}{n(n+1)}+\cdots $$

第 \( k \) 項は \( \frac{1}{k(k+1)}=\frac{1}{k}-\frac{1}{k+1} \) であるから、この無限級数の部分和 \( S_n \) は

$$ \begin{align} S_n&=\sum_{k=1}^n\frac{1}{k(k+1)}=\sum_{k=1}^n\left( \frac{1}{k}-\frac{1}{k+1} \right) \\ &=\left(1-\frac{1}{2}\right)+\left(\frac{1}{2}-\frac{1}{3}\right)+\cdots+\left(\frac{1}{n}-\frac{1}{n+1}\right)=1-\frac{1}{n+1} \end{align} $$

よって、 \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}S_n=\lim_{n\to\infty}\left( 1-\frac{1}{n+1} \right)=1 \)

したがって、この無限級数は収束して、その和は \( 1 \) である。


(2) 次の無限級数の和を求める。

$$ \frac{1}{\sqrt{2}+1}+\frac{1}{\sqrt{3}+\sqrt{2}}+\cdots+\frac{1}{\sqrt{n+1}+\sqrt{n}}+\cdots $$

第 \( k \) 項は

$$ \begin{align} \frac{1}{\sqrt{k+1}+\sqrt{k}}&=\frac{\sqrt{k+1}-\sqrt{k}}{(\sqrt{k+1}+\sqrt{k})(\sqrt{k+1}-\sqrt{k})} \\ &=\frac{\sqrt{k+1}-\sqrt{k}}{(k+1)-k}=\sqrt{k+1}-\sqrt{k} \end{align} $$

であるから、この無限級数の部分和 \( S_n \) は

$$ \begin{align} S_n&=\sum_{k=1}^n(\sqrt{k+1}-\sqrt{k}) \\ &=(\sqrt{2}-1)+(\sqrt{3}-\sqrt{2})+(\sqrt{4}-\sqrt{3})+\cdots+(\sqrt{n+1}-\sqrt{n}) \\ &=\sqrt{n+1}-1 \end{align} $$

よって、 \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}S_n=\lim_{n\to\infty}(\sqrt{n+1}-1)=\infty \)

したがって、この無限級数は発散する。

無限等比級数

初項 \( a \)、公比 \( r \) の無限等比数列 \( \{ar^{n-1}\} \) から成る無限級数

$$ \sum_{n=1}^{\infty}ar^{n-1}=a+ar+ar^2+\cdots+ar^{n-1}+\cdots $$

無限等比級数といいます。この無限級数の収束・発散を見ていきましょう。

まず、 \( a=0 \) のときはすべての項が \( 0 \) となるので \( 0 \) に収束します。

よって、 \( a\not=0 \) とします。

STEP
\( -1<r<1 \ \text{のとき} \)

\( \displaystyle \lim_{n\to\infty}r^n=0 \) と等比数列の和の公式 \( \displaystyle \sum_{k=1}^nar^{n-1}=\frac{a(1-r^n)}{1-r} \)より、

$$ \lim_{n\to\infty}S_n=\lim_{n\to\infty}\frac{a(1-r^n)}{1-r}=\frac{a}{1-r}\lim_{n\to\infty}(1-r^n)=\frac{a}{1-r} $$

よって、この無限級数は収束して、その和は \( \frac{a}{1-r} \) となります。

STEP
\( r=1 \ \text{のとき} \)

\( S_n=na \) で \( a\not=0 \) であるので、この無限級数は発散します。

STEP
\( r≦ -1 \ \text{または} \ 1<r \ \text{のとき} \)

数列 \( \{r^n\} \) は発散するので、 \( \{ S_n\} \) も発散します。

よって、まとめると次のことがいえます。

定理4 (無限等比級数の和)

無限等比級数

$$ \sum_{n=1}^{\infty}ar^{n-1}=a+ar+ar^2+\cdots+ar^{n-1}+\cdots $$

の収束・発散は次のようになる。ただし、 \( a\not=0 \)

(1) \( -1<r<1 \) のとき収束して、その和は \( \frac{a}{1-r} \)

(2) \( r≦ -1 \) または \( r≧ 1 \) のとき発散する。

例10

(1) 次の無限等比級数を考える。

$$ 1-\frac{1}{3}+\frac{1}{9}-\frac{1}{27}+\cdots $$

この無限級数は初項 \( a=1 \) 、公比 \( r=-\frac{1}{3} \) の無限等比級数である。

\( -1<r<1 \) より、この無限級数は収束して、その和は

$$ \frac{a}{1-r}=\frac{1}{1-\left(-\frac{1}{3} \right)}=\frac{1}{1+\frac{1}{3}}=\frac{3}{4} $$


(2) 次の無限等比級数を考える。

$$ 2+3+\frac{9}{2}+\frac{27}{4}+\cdots $$

この無限級数は初項 \( a=2 \) 、公比 \( r=\frac{3}{2} \) の無限等比級数である。

\( r≧1 \) より、この無限級数は発散する。

無限級数の和の性質と収束条件

ここでは、一般の無限級数に対して成り立つ性質について紹介していきます。

定理5 (無限級数の和の性質)

無限級数 \( \displaystyle \sum_{n=1}^{\infty}a_n, \ \sum_{n=1}^{\infty}b_n \) が収束して、その和がそれぞれ \( S, \ T \) であるとき、次が成り立つ。

(1) \( \displaystyle \sum_{n=1}^{\infty}ka_n=kS \) (\(k\):定数)

(2) \( \displaystyle \sum_{n=1}^{\infty}(a_n+b_n)=S+T \)

(3) \( \displaystyle \sum_{n=1}^{\infty}(a_n-b_n)=S-T \)

例11

無限級数 \( \displaystyle \sum_{n=1}^{\infty}\frac{2^n+3^n}{6^n} \) を考える。

$$ \frac{2^n+3^n}{6^n}=\frac{2^n+3^n}{2^n\cdot 3^n}=\frac{1}{3^n}+\frac{1}{2^n} $$

無限等比級数 \( \displaystyle \sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{3^n}, \ \sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{2^n} \) の公比はそれぞれ \( \frac{1}{3}, \ \frac{1}{2} \) であるので、これらはいずれも収束して、その和は

$$ \sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{3^n}=\frac{\frac{1}{3}}{1-\frac{1}{3}}=\frac{1}{2}, \quad \sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{2^n}=\frac{\frac{1}{2}}{1-\frac{1}{2}}=1 $$

したがって、

$$ \sum_{n=1}^{\infty}\frac{2^n+3^n}{6^n}=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{3^n}+\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{2^n}=\frac{1}{2}+1=\frac{3}{2} $$

また、無限級数の収束について、次が成り立ちます。

定理6 (無限級数の収束条件)

無限級数 \( \displaystyle \sum_{n=1}^{\infty}a_n \) が収束するならば、 \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}a_n=0 \)

また、対偶を考えると次が成り立つ。

数列 \( \{a_n\} \) が \( 0 \) に収束しなければ、無限級数 \( \displaystyle \sum_{n=1}^{\infty}a_n \) は発散する。

例12

無限級数

$$ \frac{1}{2}+\frac{2}{3}+\frac{3}{4}+\cdots+\frac{n}{n+1}+\cdots $$

は、 \( \displaystyle \lim_{n\to\infty}\frac{n}{n+1}=1\not=0 \) であるので、発散する。

今回はここまでです。お疲れ様でした。また次回にお会いしましょう。

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