こんにちは、ひかりです。
今回は微分方程式から1階および2階の変数係数単独線形微分方程式について解説していきます。
この記事では以下のことを紹介します。
- 1階変数係数単独線形微分方程式について
- 2階変数係数単独線形微分方程式の定数変化公式について
- 2階変数係数単独線形微分方程式の階数低下法について
1階変数係数単独線形微分方程式
微分方程式08と微分方程式09では、一般的な線形微分方程式に関してどこまで解の表示ができるのかを見てきました。
今回からは、もう少し具体的な線形微分方程式に対して解の表示を見ていきましょう。
まずは、1階変数係数単独線形微分方程式
$$ 非同次形:y'(x)+P(x)y(x)=Q(x) \tag{1} $$
$$ 同次形:y'(x)+P(x)y(x)=0 \tag{2} $$
の解について考えてみましょう。
まず、同次方程式(2)の一つの解は微分方程式03の記事より、
$$ y_1(x)=\exp \left( -\int^xp(\xi)d\xi \right)\not=0 $$
また、 \( Y(x)=(y_1(x)), \ Y_{1,\mathbb{b}}(x)=(Q(x)) \) より、ロンスキアンは
$$ W(x)=y_1(x)\not=0, \quad W_{1,\mathbb{b}}(x)=Q(x) $$
であるので、定数変化法より非同次方程式(1)の解は
$$ y(x)=y_1(x)\left( a+\int^x\frac{Q(\xi)}{y_1(\xi)}d\xi \right), \quad (a:任意定数) $$
(これは微分方程式03の解法と同じ結果が得られます)
2階変数係数単独線形微分方程式の定数変化公式
次に、2階変数係数単独線形微分方程式
$$ 非同次形:y^{\prime\prime}(x)+P_1(x)y'(x)+P_2(x)y(x)=Q(x) \tag{3} $$
$$ 同次形:y^{\prime\prime}(x)+P_1(x)y'(x)+P_2(x)y(x)=0 \tag{4} $$
の解について考えてみましょう。
まず、同次方程式(4)の基本解を \( \{y_1(x),y_2(x)\} \) とおきます。すると、ロンスキアンは
$$ W(x)=\begin{vmatrix} y_1(x) & y_2(x) \\ y’_1(x) & y’_2(x) \end{vmatrix} \not=0 (y_1,y_2:基本解より) $$
$$ W_{1,\mathbf{b}}=\begin{vmatrix} 0 & y_2(x) \\ Q(x) & y’_2(x) \end{vmatrix}=-y_2(x)Q(x) $$
$$ W_{2,\mathbf{b}}=\begin{vmatrix} y_1(x) & 0 \\ y’_1(x) & Q(x) \end{vmatrix}=y_1(x)Q(x) $$
したがって、定数変化法より非同次方程式(3)の解は
$$ y(x)=a_1y_1(x)+a_2y_2(x)+\int^x\frac{-y_1(x)y_2(\xi)+y_2(x)y_1(\xi)}{W(\xi)}Q(\xi)d\xi \quad (a_1,a_2:任意定数) $$
次の2階線形微分方程式を考える。
$$ x^2y^{\prime\prime}(x)-xy'(x)+y(x)=x $$
また、対応する同次方程式の基本解は次のように与えられる。
$$ y_1(x)=x, \quad y_2(x)=x\log x $$
このとき、この方程式の解を求める。
まず、この方程式の最高階の係数を1にすると、
$$ y^{\prime\prime}(x)-\frac{1}{x}y'(x)+\frac{1}{x^2}y(x)=\frac{1}{x} $$
よって、ロンスキアンは
$$ W(x)=\begin{vmatrix} y_1(x) & y_2(x) \\ y’_1(x) & y’_2(x) \end{vmatrix}=\begin{vmatrix} x & x\log x \\ 1 & \log x+1 \end{vmatrix}=x $$
となるので、この方程式の解は
$$ \begin{align} y(x)&=a_1x+a_2x\log x+\int^x\frac{-x\xi\log \xi+x\log x\cdot \xi}{\xi}\frac{1}{\xi} d\xi \\ &=a_1x+a_2x\log x+\frac{x}{2}(\log x)^2 \quad (a_1,a_2:任意定数) \end{align} $$
2階変数係数単独線形微分方程式の階数低下法
上で述べた定数変化法は対応する同次方程式(4)の基本解 \( \{y_1(x),y_2(x)\} \) がわかっているときにしか用いることができません。
(一般に変数係数の線形微分方程式の場合、基本解を求めることは容易ではありません)
よって、同次方程式(4)の非自明解 \( y_1(x) \) のみわかっているときの非同次方程式(3)の解法を考えてみましょう。つまり、
$$ 同次形:y_1^{\prime\prime}(x)+P_1(x)y’_1(x)+P_2(x)y_1(x)=0 \quad (y_1(x)\not\equiv 0) \tag{5} $$
このとき、非同次方程式(3)の解を \( y(x)=u(x)y_1(x) \) の形で求めてみましょう。
$$ y'(x)=u'(x)y_1(x)+u(x)y’_1(x) $$
$$ y^{\prime\prime}(x)=u^{\prime\prime}(x)y_1(x)+2u'(x)y’_1(x)+u(x)y^{\prime\prime}_1(x) $$
これらを非同次方程式(3)に代入すると、
$$ \begin{align} Q&=u^{\prime\prime}y_1+2u’y’_1+uy^{\prime\prime}_1+P_1(u’y_1+uy’_1)+P_2(uy_1) \\ &=u^{\prime\prime}y_1+2u’y’_1+P_1u’y_1+u(y^{\prime\prime}_1+P_1y’_1+P_2y_1) \end{align} $$
となるが、 \( y_1(x) \) が式(5)をみたすので、
$$ u^{\prime\prime}(x)+\left( \frac{2y’_1(x)}{y_1(x)}+P_1(x)\right) u'(x)=\frac{Q(x)}{y_1(x)} $$
よって、 \( u’=v \) とおくと、
$$ v'(x)+\left( \frac{2y’_1(x)}{y_1(x)}+P_1(x) \right) v(x)=\frac{Q(x)}{y_1(x)} $$
となり、これは \( v \) に関する1階線形微分方程式となります。
したがって、両辺に
$$ \exp\left\{ \int^x\left(\frac{2y’_1(\xi)}{y_1(\xi)}+P_1(\xi) \right) d\xi \right\}=(y_1(x))^2\exp\left(\int^xP_1(\xi)d\xi \right) $$
をかけると、
$$ \left\{ (y_1(x))^2\exp\left(\int^xP_1(\xi)d\xi \right)v(x) \right\}’=\exp\left( \int^xP_1(\xi)d\xi \right) y_1(x)Q(x) $$
となるので、
$$ \begin{align} u'(x)=v(x)&=(y_1(x))^{-2}\exp\left(-\int^xP_1(\xi)d\xi \right) \\ & \quad \times \left\{ a_2+\int^x\exp\left(\int^{\xi}P_1(\eta)d\eta \right)y_1(\xi)Q(\xi)d\xi \right\} \end{align} $$
したがって、
$$ \begin{align} u(x)&=\int^x(y_1(\xi))^{-2}\exp\left(-\int^{\xi}P_1(\eta)d\eta \right) \\ & \quad \times \left\{ a_2+\int^{\xi}\exp\left(\int^{\eta}P_1(\tau)d\tau \right)y_1(\eta)Q(\eta)d\eta \right\}d\xi+a_1 \end{align} $$
これを \( y(x)=u(x)y_1(x) \) に代入します。そのために、
$$ y_2(x)=y_1(x)\int^x (y_1(\xi))^{-2}\exp\left(-\int^{\xi}P_1(\eta)d\eta \right)d\xi $$
とおくと、非同次方程式(3)の解は次のようになります。
$$ \begin{align} y(x)&=a_1y_1(x)+a_2y_2(x)+y_1(x)\int^x (y_1(\xi))^{-2}\exp\left( -\int^{\xi}P_1(\eta)d\eta \right) \\ & \quad \times \int^{\xi}\exp\left( \int^{\eta}P_1(\tau)d\tau \right)y_1(\eta)Q(\eta)d\eta d\xi \quad (a_1,a_2:任意) \end{align} $$
2階線形微分方程式を1階線形微分方程式に帰着させて解を見つけるため、この解法のことを階数低下法といいます。
次の2階線形微分方程式を考える。
$$ y^{\prime\prime}(x)-\frac{2}{x^2}y(x)=2 \quad (x\not=0) $$
また、 \( y_1(x)=x^2 \) は対応する同次方程式の一つの非自明解である。
このとき、この方程式の解を \( y(x)=x^2u(x) \) の形で求める。
$$ y'(x)=x^2u'(x)+2xu(x) $$
$$ y^{\prime\prime}(x)=x^2u^{\prime\prime}(x)+4xu'(x)+2u(x) $$
であるので、これらを代入すると、
$$ x^2u^{\prime\prime}(x)+4xu'(x)+2u(x)-\frac{2}{x^2}x^2u(x)=2 $$
よって、
$$ x^2u^{\prime\prime}(x)+4xu'(x)=2 $$
\( x^2 \) で割って、 \( v(x)=u'(x) \) とおくと、
$$ v'(x)+\frac{4}{x}v(x)=\frac{2}{x^2} $$
これは1階線形微分方程式であるので、両辺に
$$ \exp\left( \int^x \frac{4}{\xi}d\xi \right)=x^4 $$
をかけると、 \( (x^4v(x))’=2x^2 \)
したがって、
$$ u'(x)=v(x)=\frac{2}{3x}+\frac{c_1}{x^4} $$
よって、
$$ u(x)=\int v(x) dx=\frac{2}{3}\log |x|-\frac{c_1}{3x^3}+c_2 $$
となるので、
$$ y(x)=x^2u(x)=\frac{2}{3}x^2\log |x|-\frac{c_1}{3x}+c_2x^2 \quad (c_1,c_2:任意) $$
今回はここまでです。お疲れ様でした。また次回にお会いしましょう。