曲線・曲面論11:ガウスの驚異の定理と曲率のさまざまな表現

こんにちは、ひかりです。

今回は曲線・曲面論からガウスの驚異の定理と曲率のさまざまな表現について解説していきます。

この記事では以下のことを紹介します。

  • ガウスの驚異の定理について
  • 曲率のさまざまな表現について
目次

ガウスの驚異の定理

曲線・曲面論09の定理1より、ガウス曲率 \( K \) は第一基本量 \( E,F,G \) と第二基本量 \( L,M,N \) を用いて

\[ K=\frac{LN-M^2}{EG-F^2} \]

と表されました。

ですが、ガウス自身によって実はガウス曲率 \( K \) は第一基本量 \( E,F,G \) とそれらの偏導関数のみで表現することができるということが示されました。

これをガウスは驚くべき定理と名付けました。それが以下の定理です。

定理1 (ガウスの驚異の定理)

ガウス曲率 \( K \) は第一基本量 \( E,F,G \) とそれらの偏導関数を用いて次のように表される。

$$ \begin{align} K&=-\frac{1}{4(EG-F^2)^2}\det\begin{pmatrix} E & F & G \\ E_u & F_u & G_u \\ E_v & F_v & G_v \end{pmatrix} \\ & \quad \quad +\frac{1}{2\sqrt{EG-F^2}}\left\{ \left( \frac{F_v-G_u}{\sqrt{EG-F^2}}\right)_u+\left( \frac{E_u-E_v}{\sqrt{EG-F^2}}\right)_v\right\} \end{align} $$

曲率のさまざまな表現

引き続き、平均曲率 \( H \) とガウス曲率 \( K \) の表現について見ていきましょう。

関数 \( z=f(x,y) \) のグラフで曲面 \( S \) が表されているとします。

つまり、 \( \mathbf{p}(x,y)=(x,y,f(x,y)) \) とおくと、 \( \mathbf{p}(x,y) \) は \( S \) の位置ベクトルとなっています。

したがって、

\[ \mathbf{p}_x=(1,0,f_x), \quad \mathbf{p}_y=(0,1,f_y) \]

また、 \( \mathbf{n} \) として \( \mathbf{n}=\frac{\mathbf{p}_x\times \mathbf{p}_y}{\|\mathbf{p}_x\times \mathbf{p}_y\|} \) を用います。すると、

\[ \mathbf{n}=\frac{\mathbf{p}_x\times \mathbf{p}_y}{\|\mathbf{p}_x\times \mathbf{p}_y\|}=\frac{1}{\sqrt{1+f^2_x+f^2_y}}(-f_x,-f_y,1)=\frac{1}{\sqrt{\varphi}}(-\nabla f,1) \]

ただし、

\[ \nabla f=(f_x,f_y), \quad \|\nabla f\|=\sqrt{f_x^2+f_y^2}, \quad \varphi=1+\|\nabla f\|^2=1+f_x^2+f_y^2 \]

よって、

\[ E=\mathbf{p}_x\cdot \mathbf{p}_x=1+f_x^2, \quad F=\mathbf{p}_x\cdot\mathbf{p}_y=f_xf_y, \quad G=\mathbf{p}_y\cdot \mathbf{p}_y=1+f_y^2 \]

また、

\[ \mathbf{p}_{xx}=(0,0,f_{xx}), \quad \mathbf{p}_{xy}=(0,0,f_{xy}), \quad \mathbf{p}_{yy}=(0,0,f_{yy}) \]

より、

\[ L=\mathbf{p}_{xx}\cdot \mathbf{n}=\frac{f_{xx}}{\sqrt{\varphi}}, \quad M=\mathbf{p}_{xy}\cdot \mathbf{n}=\frac{f_{xy}}{\sqrt{\varphi}}, \quad N=\mathbf{p}_{yy}\cdot\mathbf{n}=\frac{f_{yy}}{\sqrt{\varphi}} \]

したがって、

\[ EG-F^2=(1+f_x^2)(1+f_y^2)-(f_xf_y)^2=1+f_x^2+f_y^2=\varphi \]

\[ GL+EN-2FM=\frac{(1+f_y^2)f_{xx}-2f_xf_yf_{xy}+(1+f_x^2)f_{yy}}{\varphi^{\frac{3}{2}}} \]

\[ LM-N^2=\frac{f_{xx}f_{yy}-(f_{xy})^2}{\varphi} \]

であるので、

\[ H=\frac{1}{2}\frac{(1+f_y^2)f_{xx}-2f_xf_yf_{xy}+(1+f_x^2)f_{yy}}{\varphi^{\frac{5}{2}}}, \quad K=\frac{f_{xx}f_{yy}-(f_{xy})^2}{\varphi^2} \]

\( f_x=f_y=0 \) であれば、曲線・曲面論06での平均曲率とガウス曲率の表示となります。つまり、 \[ H=\frac{1}{2}(f_{xx}+f_{yy})=\frac{1}{2}\text{tr} \ \text{Hess} \ f \] \[ K=f_{xx}f_{yy}-(f_{xy})^2=\text{det} \ \text{Hess} \ f \]

今回はここまでです。お疲れ様でした。また次回にお会いしましょう。

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