曲線・曲面論10:さまざまな曲面の曲率の計算

こんにちは、ひかりです。

今回は曲線・曲面論からさまざまな曲面の曲率の計算について解説していきます。

この記事では以下のことを紹介します。

  • さまざまな曲面の曲率の計算について
目次

さまざまな曲面の曲率の計算

曲線・曲面論06で定義した曲率を曲線・曲面論09の定理1などを用いて、さまざまな具体的な曲面に対して曲率を計算してみましょう。

例1

\( x=f(u), y=0, z=g(u) \) で表される曲線を \( z \) 軸の周りに回転して得られる回転面を \( S \) とする。ただし、

\[ f(u)>0, \ (f'(u))^2+(g'(u))^2\not=0, \quad {}’=\frac{d}{du} \]

\[ S=\{\mathbf{p}(u,v)=(f(u)\cos v,f(u)\sin v,g(u)) : 0≦v<2\pi \} \]

として、 \( \varphi=(f’)^2+(g’)^2 \) とおく。

\[ \mathbf{p}_u=(f’\cos v,f’\sin v,g’), \quad \mathbf{p}_v=(-f\sin v,f\cos v,0) \]

であるので、

\[ E=\mathbf{p}_u\cdot\mathbf{p}_u=\varphi, \quad F=\mathbf{p}_u\cdot \mathbf{p}_v=0, \quad G=\mathbf{p}_v\cdot\mathbf{p}_v=f^2 \]

次に、 \( \mathbf{n}=\frac{\mathbf{p}_u\times \mathbf{p}_v}{\|\mathbf{p}_u\times \mathbf{p}_v\|} \) を求める。

\[ \mathbf{p}_u\times\mathbf{p}_v=\det\begin{pmatrix} \mathbf{e}_x & \mathbf{e}_y & \mathbf{e}_z \\ f’\cos v & f’\sin v & g’ \\ -f\sin v & f\cos v & 0 \end{pmatrix}=(-fg’\cos v,-fg’\sin v,ff’) \]

より、 \( \|\mathbf{p}_u\times\mathbf{p}_v\|=f\sqrt{\varphi} \) であるので、

\[ \mathbf{n}=\frac{1}{\sqrt{\varphi}}(-g’\cos v,-g’\sin v,f’) \]

したがって、

\[ \mathbf{p}_{uu}=(f^{\prime\prime}\cos v,f^{\prime\prime}\sin v,g^{\prime\prime}), \quad \mathbf{p}_{uv}=(-f’\sin v,f’\cos v,0) \]

\[ \mathbf{p}_{vv}=(-f\cos v,-f\sin v,0) \]

より、

\[ L=\mathbf{n}\cdot \mathbf{p}_{uu}=\frac{-f^{\prime\prime}g’+f’g^{\prime\prime}}{\sqrt{\varphi}}, \quad M=\mathbf{n}\cdot \mathbf{p}_{uv}=0, \quad N=\mathbf{n}\cdot \mathbf{p}_{vv}=\frac{fg’}{\sqrt{\varphi}} \]

よって、

$$ \begin{align} \begin{pmatrix} E & F \\ F & G \end{pmatrix}^{-1}\begin{pmatrix} L & M \\ M & N \end{pmatrix}&=\frac{1}{EG}\begin{pmatrix} G & 0 \\ 0 & E \end{pmatrix}\begin{pmatrix} L & 0 \\ 0 & M \end{pmatrix} \\ &=\frac{1}{EG}\begin{pmatrix} GL & 0 \\ 0 & EN \end{pmatrix} \end{align} $$

より、曲線・曲面論09の定理2を用いると、平均曲率 \( H \) とガウス曲率 \( K \) は次のようになる。

\[ \begin{align} H&=\frac{1}{2}\text{tr}\left\{ \frac{1}{EG}\begin{pmatrix} GL & 0 \\ 0 & EN \end{pmatrix} \right\}=\frac{1}{2}\left( \frac{L}{E}+\frac{N}{G}\right) \\ &=\frac{1}{2}\left(\frac{-f^{\prime\prime}g’+f’g^{\prime\prime}}{\varphi^{\frac{3}{2}}}+\frac{g’}{f\sqrt{\varphi}}\right), \end{align} \]

\[ K=\det\left\{ \frac{1}{EG}\begin{pmatrix} GL & 0 \\ 0 & EN \end{pmatrix} \right\}=\frac{L}{E}\cdot\frac{N}{G}=\frac{(-f^{\prime\prime}g’+f’g^{\prime\prime})g’}{f\varphi^2} \]

よって、主曲率 \( \kappa_1,\kappa_2 \) は

\[ \kappa_1=\frac{L}{E}=\frac{-f^{\prime\prime}g’+f’g^{\prime\prime}}{\varphi^{\frac{3}{2}}}, \quad \kappa_2=\frac{N}{G}=\frac{g’}{f\sqrt{\varphi}} \]

例2 (球面)

\( r>0 \) とする。例1で

\[ f(u)=r\sin u, \quad g(u)=r\cos u, \ (0<u<\pi) \]

とおくと、 \( S \) は半径 \( r \) の球面となる。

\[ f’=r\cos u=g, \quad f^{\prime\prime}=-r\sin u=-f, \]

\[ g’=-r\sin u=-f, \quad g^{\prime\prime}=-r\cos u=-g \]

したがって、

\[ \varphi=(f’)^2+(g’)^2=g^2+f^2=r^2 \]

であるので、平均曲率 \( H \) とガウス曲率 \( K \) は例1より、

\[ H=\frac{1}{2}\left\{ \frac{-(-f)(-f)+g(-g)}{(r^2)^{\frac{3}{2}}}+\frac{-f}{f\sqrt{r^2}}\right\}=\frac{1}{2}\left(-\frac{1}{r}-\frac{1}{r}\right)=-\frac{1}{r} \]

\[ K=\frac{\{-(-f)(-f)+g(-g)\}(-f)}{fr^4}=\frac{1}{r^2} \]

よって、主曲率 \( \kappa_1,\kappa_2 \) は

\[ \kappa_1=\kappa_2=-\frac{1}{r} \]

一方、

\[ f(u)=r\cos u, \quad g(u)=r\sin u, \ (0<u<\pi) \]

としても \( S \) は半径 \( r \) の球面となる。

このときは、

\[ H=\frac{1}{r}, \quad K=\frac{1}{r^2}, \quad \left(\kappa_1=\kappa_2=\frac{1}{r}\right) \]

例3 (平面)

例1で

\[ f(u)=u, \quad g(u)=a, \ (u>0) \]

とおくと、 \( S \) は平面となる。

\[ f’=1, \quad f^{\prime\prime}=0, \quad g’=g^{\prime\prime}=0, \quad \varphi=1 \]

したがって、例1より

\[ H=K=0, \quad (\kappa_1=\kappa_2=0) \]

逆に \( H=K\equiv 0 \) ならば \( S \) はある平面となることも知られています。ただし、 \( H,K \) のどちらか一方だけ0であっても \( S \) は平面とは限りません。

例4 (円柱)

例1で

\[ f(u)=a, \quad g(u)=u, \ (u\in \mathbb{R}) \]

とおくと、 \( S \) は円柱面となる。

\[ f’=f^{\prime\prime}=0, \quad g’=1, \quad g^{\prime\prime}=0, \quad \varphi=1 \]

したがって、例1より

\[ H=\frac{1}{2a}, \quad K=0, \quad \left(\kappa_1=0, \ \kappa_2=\frac{1}{a}\right) \]

例5 (懸垂面)

例1で

\[ f(u)=a\cosh \frac{u}{a}, \quad g(u)=u, \ (u\in \mathbb{R}) \]

とする。このとき、 \( S \) を懸垂面という。ただし、 \( \cosh \theta=\frac{e^{\theta}+e^{-\theta}}{2} \)

\[ f’=\sinh \frac{u}{a}, \quad f^{\prime\prime}=\frac{1}{a}\cosh \frac{u}{a}=\frac{f}{a^2}, \quad g’=1, \quad g^{\prime\prime}=0, \]

\[ \varphi=\sinh^2\frac{u}{a}+1=\cosh^2\frac{u}{a}=\left(\frac{f}{a}\right)^2 \]

したがって、例1より

\[ H=\frac{1}{2}\left( \frac{-\frac{f}{a^2}\cdot 1+0}{\left\{\left(\frac{f}{a}\right)^2\right\}^{\frac{3}{2}}}+\frac{1}{f\cdot \frac{f}{a}}\right)=\frac{1}{2}\left( -\frac{a}{f^2}+\frac{a}{f^2}\right)=0 \]

\[ K=\frac{-\frac{f}{a^2}\cdot 1+0}{\left\{\left(\frac{f}{a}\right)^2\right\}^{\frac{3}{2}}}+\frac{1}{f\cdot \frac{f}{a}}\cdot \frac{1}{f\cdot \frac{f}{a}}=-\frac{a^2}{f^4} \]

\[ \kappa_1=-\frac{a}{f^2}, \quad \kappa_2=\frac{a}{f^2} \]

最後に次を定義して終わりにします。

定義1 (極小曲面・平坦曲面)

(1) \( H\equiv 0 \) をみたす曲面を極小曲面という。

(2) \( K\equiv 0 \) をみたす曲面を平坦曲面という。

今回はここまでです。お疲れ様でした。また次回にお会いしましょう。

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