曲線・曲面論07:第一基本量と第一基本形式

こんにちは、ひかりです。

今回は曲線・曲面論から第一基本量と第一基本形式について解説していきます。

この記事では以下のことを紹介します。

  • 第一基本量と第一基本形式について
目次

第一基本量と第一基本形式

曲面 \( S \) が位置ベクトル \( \mathbf{p}(u,v) \) で表されているとします。つまり、

$$ S=\{\mathbf{p}(u,v)=(x(u,v),y(u,v),z(u,v)) \ | \ (u,v)\in M \} $$

以降、 \( \mathbf{p}_u,\mathbf{p}_v \) でそれぞれの変数による偏導関数を表すことにします。すると、

$$ \mathbf{p}_u=(x_u,y_u,z_u), \ \mathbf{p}_v=(x_v,y_v,z_v) $$

であり、 \( \mathbf{p}_u,\mathbf{p}_v \) はともに \( S \) の接ベクトルになります。

ここで、次に注意します。

$$ \begin{align} &|\mathbf{p}(u+\Delta u,v+\Delta v)-\mathbf{p}(u,v)|^2 \\ &\sim |\mathbf{p}_u\Delta u+\mathbf{p}_v\Delta v|^2 \\ &=(\mathbf{p}_u\cdot \mathbf{p}_u)(\Delta u)^2+2(\mathbf{p}_u\cdot \mathbf{p}_v)\Delta u\Delta v+(\mathbf{p}_v\cdot \mathbf{p}_v)(\Delta v)^2 \end{align} $$

そこで、次を定義します。

定義1 (第一基本量・第一基本形式)

$$ \begin{align} E(u,v)&=\mathbf{p}_u(u,v)\cdot \mathbf{p}_u(u,v) \\ F(u,v)&=\mathbf{p}_u(u,v)\cdot \mathbf{p}_v(u,v) \\ G(u,v)&=\mathbf{p}_v(u,v)\cdot \mathbf{p}_v(u,v) \end{align} $$

を曲面 \( S \) の第一基本量という。また、

$$ I(u,v)=E(u,v)du^2+2F(u,v)dudv+G(u,v)dv^2 $$

を曲面 \( S \) の第一基本形式という。

例1

次の位置ベクトルで表現される \( S \) 上の曲線を考える。

$$ \widetilde{\mathbf{p}}(t)=\mathbf{p}(u(t),v(t)) \quad (\alpha≦t≦\beta) $$

(ただし、 \( S \) は \( \mathbf{p}(u,v) \) で表現されているとする)

$$ \frac{d\widetilde{\mathbf{p}}}{dt}=\mathbf{p}_u\frac{du}{dt}+\mathbf{p}_v\frac{dv}{dt} $$

より、

$$ \begin{align} \left\| \frac{d\widetilde{\mathbf{p}}}{dt}\right\|^2&=\frac{d\widetilde{\mathbf{p}}}{dt}\cdot \frac{d\widetilde{\mathbf{p}}}{dt}=\left( \mathbf{p}_u\frac{du}{dt}+\mathbf{p}_v\frac{dv}{dt}\right)\cdot \left( \mathbf{p}_u\frac{du}{dt}+\mathbf{p}_v\frac{dv}{dt}\right) \\ &=E\left( \frac{du}{dt}\right)^2+2F\frac{du}{dt}\frac{dv}{dt}+G\left( \frac{dv}{dt}\right)^2 \end{align} $$

となるので、曲線の長さはベクトル解析03の定理1より、

$$ \int_{\alpha}^{\beta}\left\| \frac{d\widetilde{\mathbf{p}}}{dt}\right\|dt=\int_{\alpha}^{\beta}\sqrt{E\left( \frac{du}{dt}\right)^2+2F\frac{du}{dt}\frac{dv}{dt}+G\left( \frac{dv}{dt}\right)^2}dt $$

例2

$$ S=\{\mathbf{p}(u,v)=(x(u,v),y(u,v),z(u,v)) \ | \ (u,v)\in M \} $$

として、

$$ \mathbf{p}(D)=\{\mathbf{p}(u,v) \ | \ (u,v)\in D \}\subset S $$

とする。このとき、 \( \mathbf{p}(D) \) の面積を求める。

\( \Delta u>0, \ \Delta v>0 \) として、

$$ \Delta S=\{\mathbf{p}(\sigma,\tau) \ | \ u≦\sigma≦u+\Delta u, \ v≦\tau≦v+\Delta v \} $$

とおく。このとき、

$$ \mathbf{a}=\mathbf{p}(u+\Delta u,v)-\mathbf{p}(u,v) $$

$$ \mathbf{b}=\mathbf{p}(u,v+\Delta v)-\mathbf{p}(u,v) $$

とおくと、

$$ \Delta Sの面積=\|\mathbf{a}\times\mathbf{b}\|+o(\Delta u\Delta v) $$

ここで、

$$ \mathbf{a}=\mathbf{p}_u(u,v)\Delta u+o(\Delta u) $$

$$ \mathbf{b}=\mathbf{p}_v(u,v)\Delta v+o(\Delta v) $$

と表せるので、

$$ \Delta S=\|\mathbf{p}_u\times \mathbf{p}_v\|\Delta u\Delta v+o(\Delta u\Delta v) $$

よって、 \( \Delta u\to +0, \ \Delta v\to +0 \) とすると、

$$ dS=\|\mathbf{p}_u\times \mathbf{p}_v\|dudv $$

ここで、ラグランジュの公式

$$ (\mathbf{w}\times \mathbf{x})\cdot (\mathbf{y}\times \mathbf{z})=(\mathbf{w}\cdot \mathbf{y})(\mathbf{x}\cdot \mathbf{z})-(\mathbf{w}\cdot \mathbf{z})(\mathbf{x}\cdot \mathbf{y}) $$

において、 \( \mathbf{w}=\mathbf{y}=\mathbf{p}_u, \ \mathbf{x}=\mathbf{z}=\mathbf{p}_v \) を代入すると、

$$ \|\mathbf{p}_u\times \mathbf{p}_v\|^2=(\mathbf{p}_u\cdot \mathbf{p}_u)(\mathbf{p}_v\cdot\mathbf{p}_v)-(\mathbf{p}_u\cdot\mathbf{p}_v)^2=EG-F^2 \tag{1} $$

より、

$$ \mathbf{p}(D)の面積=\iint_DdS=\iint_D\sqrt{EG-F^2}dudv $$

式(1)より、 \( EG-F^2≧0 \) となります。また、次が成り立つことが知られています。 $$ EG-F^2>0 \ \iff \ \{\mathbf{p}_u,\mathbf{p}_v\}は一次独立 $$

今回はここまでです。お疲れ様でした。また次回にお会いしましょう。

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