複素関数論10:コーシーの積分公式の応用

こんにちは、ひかりです。

今回は複素関数論からコーシーの積分公式の応用について解説していきます。

この記事では以下のことを紹介します。

  • コーシーの積分定理の逆(モレラの定理)について
  • コーシーの評価式とリュービルの定理について
  • リュービルの定理による代数学の基本定理の証明について
目次

コーシーの積分定理の逆(モレラの定理)

コーシーの積分公式を用いると、コーシーの積分定理の逆であるモレラの定理を示すことができます。

定理1 (モレラの定理)

\( D\subset \mathbb{C} \) を単連結領域とする。

このとき、関数 \( f(x) \) が \( D \) において連続で、 \( D \) 内の任意の閉曲線 \( C \) に対して

\[ \int_Cf(z)dz=0 \]

が成り立つならば、 \( f(z) \) は \( D \) で正則である。

定理1の証明(気になる方だけクリックしてください)

もう少しお待ちください。

コーシーの評価式とリュービルの定理

次に、有界な整関数は必ず定数関数になるというとても強い定理であるリュービルの定理を示してみましょう。

まず、準備としてコーシーの評価式を示します。

定理2 (コーシーの評価式)

関数 \( f(z) \) が閉円板

\[ \overline{D_R(z)}=\{ \zeta\in\mathbb{C} : |\zeta-z|≦R\} \]

において正則で、

\[ \partial D_R(z)=\{ \zeta\in\mathbb{C} : |\zeta-z|=R\} \]

上で \( |f(z)|≦M \) ならば次が成り立つ。

\[ |f^{(n)}(z)|≦\frac{n!M}{R^n} \quad (n=0,1,2,\cdots) \]

定理2の証明(気になる方だけクリックしてください)

もう少しお待ちください。

ではリュービルの定理を示しましょう。

定理3 (リュービルの定理)

関数 \( f(z) \) が複素平面全体において正則であり、ある定数 \( M \) が存在して、

\[ |f(z)|≦M \]

が成り立つとする。このとき、 \( f(z) \) は定数関数である。

定理3の証明(気になる方だけクリックしてください)

もう少しお待ちください。

リュービルの定理による代数学の基本定理の証明

最後にリュービルの定理を用いることにより、有名な代数学の基本定理を証明してみましょう。

定理4 (代数学の基本定理)

複素数を係数とする \( n \) 次代数方程式 \( (n≧1) \)

\[ c_nz^n+c_{n-1}z^{n-1}+\cdots+c_1z+c_0=0 \quad (c_n\not=0) \]

は、複素数の範囲に少なくとも1つの解をもつ。

定理4の証明(気になる方だけクリックしてください)

もう少しお待ちください。

定理5 (代数学の基本定理)

複素数を係数とする \( n \) 次代数方程式 \( (n≧1) \)

\[ c_nz^n+c_{n-1}z^{n-1}+\cdots+c_1z+c_0=0 \quad (c_n\not=0) \]

は、複素数の範囲に重複度を込めて \( n \) 個の解をもつ。

定理5の証明(気になる方だけクリックしてください)

もう少しお待ちください。

今回はここまでです。お疲れ様でした。また次回にお会いしましょう。

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