こんにちは、ひかりです。
今回は微分方程式から求積法2(変数分離形や同次形に帰着できる形)について解説していきます。
この記事では以下のことを紹介します。
- 変数分離形や同次形に帰着できる形(1)について
- 変数分離形や同次形に帰着できる形(2)について
変数分離形や同次形に帰着できる形(1)
微分方程式01の記事で変数分離形と同次形の微分方程式の解法について紹介しました。
今回は、変数分離形や同次形ではないものの、変数分離形や同次形に帰着できる形を2つ紹介します。
まず、次の微分方程式を考えます。
$$ y'(x)=f(ax+by+c), \quad (a,b,c\in \mathbb{R}) $$
これは次のように場合分けして解くことになります。
- \( (a,b)=(0,0) \) のとき
-
このときは、
$$ y’=f(c) $$
より、解は次のようになります。
$$ y=f(c)x+C, \quad (C:任意定数) $$
- \( a=0, \ b\not=0 \) のとき
-
このときは、
$$ y’=f(by+c) $$
より、変数分離形の微分方程式になります。
- \( a\not=0, \ b=0 \) のとき
-
このときは、
$$ y’=f(ax+c) $$
より、解は次のようになります。
$$ y=\int f(ax+c)dx+C, \quad (C:任意定数) $$
- \( a,b\not=0 \) のとき
-
このときは、
$$ z(x)=ax+by(x)+c $$
とおくと、
$$ \frac{dz}{dx}=a+bf(ax+by+c)=a+bf(z) $$
より、変数分離形の微分方程式になります。
(1) 次の微分方程式を考える。
$$ y’=3x+2y-1 $$
このときは、 \( z=3x+2y+1 \) とおくと、
$$ \frac{dz}{dx}=3+2y’=3+2z $$
より、変数分離形の微分方程式になるので、これを解く。
まず、 \( g(z)=3+2z \) とおくと、定数 \( z_0=-\frac{3}{2} \) は \( g(z_0)=0 \) をみたすので、定数関数
$$ z\equiv -\frac{3}{2} $$
すなわち
$$ y=-\frac{3}{2}x-\frac{5}{4} $$
はこの微分方程式の解となる。
よって、 \( z\not=-\frac{3}{2} \) とすると、
$$ \frac{1}{3+2z}\frac{dz}{dx}=1 $$
と変形でき、両辺 \( x \) で積分をすると、
$$ \int\frac{1}{3+2z}dz=\int 1 dx $$
となる。
$$ \int\frac{1}{3+2z}dz=\frac{1}{2}\log |3+2z|+C_1, \quad \int 1 dx=x+C_2 $$
より、
$$ \begin{align} &\frac{1}{2}\log |3+2z|=x+C_3 \quad (C_3:任意定数) \\ &\iff \log|e^{-2x}(3+2z)|=2C_3 \\ & \iff e^{-2x}(3+2z)=\pm e^{2C_3} \end{align} $$
であるので、 \( z=3x+2y+1 \) を戻すと、
$$ \begin{align} &e^{-2x}(6x+4y+5)=C \quad (C=\pm e^{2C_3}\not=0) \\ &\iff y=\frac{1}{4}(Ce^{2x}-6x-5) \end{align} $$
\( y=-\frac{3}{2}x-\frac{5}{4} \) は解であったが、これは \( C=0 \) の場合に相当する。
よって、この微分方程式の一般解は
$$ y=\frac{1}{4}(Ce^{2x}-6x-5) \quad (C:任意定数) $$
(2) 次の微分方程式を考える。
$$ y’=e^{2x-3y}+\frac{2}{3} $$
これは \( f(X)=e^X+\frac{2}{3} \) とおくと、 \( y’=f(2x-3y) \) となり、変数分離形や同次形に帰着できる形(1)になる。
このときは、 \( z=2x-3y \) とおくと、
$$ \frac{dz}{dx}=2-3y’=2-3\left(e^z+\frac{2}{3}\right)=-3e^z $$
より、変数分離形の微分方程式になるので、これを解く。
まず、 \( g(z)=-3e^z \) とおくと、 \( g(z_0)=0 \) となる定数 \( z_0 \) は存在しないことに注意する。
よって、
$$ -\frac{1}{3}e^{-z}\frac{dz}{dx}=1 $$
と変形でき、両辺 \( x \) で積分をすると、
$$ -\frac{1}{3}\int e^{-z}dz=\int 1 dx $$
となる。
$$ -\frac{1}{3}\int e^{-z}dz=\frac{1}{3}e^{-z}+C_1, \quad \int 1 dx=x+C_2 $$
より、
$$ \begin{align} &\frac{1}{3}e^{-z}=x+C_3 \quad (C_3:任意定数) \\ &\iff z=-\log |3x+3C_3| \end{align} $$
であるので、 \( z=2x-3y \) を戻すと、
$$ \begin{align} &e^{-2x+3y}=(3x+C) \quad (C:任意定数) \end{align} $$
よって、この微分方程式の一般解は
$$ (3x+C)e^{2x-3y}=1 \quad (C:任意定数) $$
変数分離形や同次形に帰着できる形(2)
今度は、次の微分方程式を考えます。
$$ y'(x)=f\left( \frac{ax+by+c}{px+qy+r} \right), \quad (a,b,c,p,q,r\in \mathbb{R}, \ (p,q,r)\not=(0,0,0)) $$
これは次のように場合分けして解くことになります。
- \( (a,b,c)=(0,0,0) \) のとき
-
このときは、
$$ y’=f(0) $$
より、解は次のようになります。
$$ y=f(0)x+C, \quad (C:任意定数) $$
- \( (a,b)=(0,0), \ c\not=0 \) のとき
-
このときは、
$$ g(X)=f\left(\frac{1}{X}\right) $$
とおくと、
$$ y’=g\left( \frac{p}{c}x+\frac{q}{c}y+\frac{r}{c} \right) $$
より、変数分離形や同次形に帰着できる形(1)になります。
- \( (p,q)=(0,0), \ r\not=0 \) のとき
-
このときは、
$$ y’=f\left( \frac{a}{r}x+\frac{b}{r}y+\frac{c}{r} \right) $$
より、変数分離形や同次形に帰着できる形(1)になります。
- \( (a,b)\not=(0,0), \ (p,q)\not=(0,0) \) のとき
-
このときは、
$$ ax+by+c=0, \quad px+qy+r=0 $$
は \( xy \) 平面上で2直線を表します。
- 2直線が一点で交わるとき
-
交点を \( (h,k) \) とします。このとき、
$$ u=x-h, \quad v=y-k $$
とおくと、
$$ \frac{dy}{dx}=\frac{d(v+k)}{dx}=\frac{dv}{dx}=\frac{dv}{du}\frac{du}{dx}=\frac{dv}{du}\frac{d(x-h)}{dx}=\frac{dv}{du} $$
また、 \( (h,k) \) がこの2直線の交点より、
$$ \begin{align} \frac{ax+by+c}{px+qy+r}&=\frac{ax+by-(ah+bk)}{px+qy-(ph+qk)} \\ &=\frac{a(x-h)+b(y-k)}{p(x-h)+q(y-k)}=\frac{au+bv}{pu+qv} \end{align} $$
したがって、
$$ \begin{align} \frac{dv}{du}&=\frac{dy}{dx}=f\left( \frac{ax+by+c}{px+qy+r} \right) \\ &=f\left( \frac{au+bv}{pu+qv} \right)=f\left( \frac{a+b\frac{v}{u}}{p+q\frac{v}{u}} \right) \end{align} $$
となり、これは同次形の微分方程式になります。
- 2直線が一致するとき
-
このときは、
$$ \frac{ax+by+c}{px+qy+r}=\alpha \quad (\alpha:定数) $$
となるので、
$$ y’=f(\alpha) $$
より、解は次のようになります。
$$ y=f(\alpha)x+C, \quad (C:任意定数) $$
- 2直線が平行で一致しないとき
-
このときは、
$$ \frac{ax+by+c}{px+qy+r}=\alpha+\frac{\beta}{px+qy+r} \quad (\alpha,\beta:定数) $$
となります。
- \( q=0 \) のとき
-
このときは、
$$ y’=f\left( \alpha+\frac{\beta}{px+r} \right) $$
より、解は次のようになります。
$$ y=\int f\left( \alpha+\frac{\beta}{px+r} \right)dx+C, \quad (C:任意定数) $$
- \( q\not=0 \) のとき
-
このときは、
$$ u=px+qy $$
とおくと、
$$ u’=p+qy’=p+qf\left(\alpha+\frac{\beta}{u+r} \right) $$
となり、これは変数分離形の微分方程式になります。
(1) 次の微分方程式を考える。
$$ y’=\frac{6x+4}{2x+1} $$
2直線
$$ 6x+4=0, \quad 2x+1=0 $$
を考えると、これは平行で一致しない。つまり、
$$ \frac{6x+4}{2x+1}=3+\frac{1}{2x+1} $$
と表せる。よって、解は
$$ y=\int \left(3+\frac{1}{2x+1}\right) dx+C, \quad (C:任意定数) $$
となるので、一般解は
$$ y=3x+\frac{1}{2}\log |2x+1|+C, \quad (C:任意定数) $$
(2) 次の微分方程式を考える。
$$ y’=\frac{2x-y-3}{x+y-3} $$
2直線
$$ 2x-y-3=0, \quad x+y-3=0 $$
を考えると、一点で交わり、その交点は \( (h,k)=(2,1) \) である。よって、
$$ u=x-2, \quad v=y-1 $$
とおくと、
$$ \frac{dv}{du}=\frac{dy}{dx}=\frac{2x-y-3}{x+y-3}=\frac{2u-v}{u+v}=\frac{2-\frac{v}{u}}{1+\frac{v}{u}} $$
より、同次形の微分方程式となる。
よって、 \( w=\frac{v}{u} \) とおくと、
$$ \frac{2-w}{1+w}=\frac{dv}{du}=\frac{d(wu)}{du}=w+u\frac{dw}{du} $$
となるので、
$$ u\frac{dw}{du}=\frac{2-2w-w^2}{1+w} $$
より、変数分離形の微分方程式となる。
まず、 \( g(w)=\frac{2-2w-w^2}{1+w} \) とおくと、定数 \( w_0=-1\pm \sqrt{3} \) は \( g(w_0)=0 \) をみたすので、定数関数
$$ w\equiv -1\pm \sqrt{3} $$
はこの方程式の解となる。
よって、 \( w\not=-1\pm \sqrt{3} \) とすると、
$$ \frac{1+w}{2-2w-w^2}\frac{dw}{du}=\frac{1}{u} $$
と変形でき、両辺 \( u \) で積分をすると、
$$ \int\frac{1+w}{2-2w-w^2}dw=\int \frac{1}{u} du $$
となる。
$$ \int\frac{1+w}{2-2w-w^2}dw=-\frac{1}{2}\log |2-2w-w^2|+C_1, \quad \int \frac{1}{u} du=\log |u|+C_2 $$
より、
$$ \begin{align} &-\frac{1}{2}\log |2-2w-w^2|=\log |u|+C_3 \quad (C_3:任意定数) \\ &\iff \log|u^2(2-2w-w^2)|=-2C_3 \\ &\iff u^2(2-2w-w^2)=C \quad (C=e^{-2C_3}\not=0) \end{align} $$
\( w\equiv -1\pm \sqrt{3} \) は解であったが、これは \( C=0 \) の場合に相当する。
よって、 \( w=\frac{v}{u} \) を戻すと、
$$ \begin{align} 2u^2-2uv-v^2=C \quad (C:任意定数) \end{align} $$
よって、 \( u=x-2, \ v=y-1 \) を戻すと、この微分方程式の一般解は
$$ 2(x-2)^2-2(x-2)(y-1)-(y-1)^2=C \quad (C:任意定数) $$
今回はここまでです。お疲れ様でした。また次回にお会いしましょう。