曲線・曲面論13:大域的なガウス・ボンネの定理

こんにちは、ひかりです。

今回は曲線・曲面論から大域的なガウス・ボンネの定理について解説していきます。

この記事では以下のことを紹介します。

  • 閉曲面のオイラー数について
  • 大域的なガウス・ボンネの定理について
目次

閉曲面のオイラー数

ここでは、大域的なガウス・ボンネの定理の準備として、閉曲面のオイラー数について考えます。

まず境界のない曲面のことを閉曲面といいます。

そして、裏と表が区別できる閉曲面を向き付け可能な曲面といいます。

この向き付け可能な閉曲面に対してオイラー数を次のように定義します。

定義1 (オイラー数)

\( S \) を向き付け可能な閉曲面とする。

また、 \( S \) を三角形分割をしたときの頂点、辺、面の個数の総和をそれぞれ \( b_0,b_1,b_2 \) とする。

このとき、 \( \chi(s)=b_0-b_1+b_2 \) とおいて、 \( S \) のオイラー数という。

\( \chi (s) \) は三角形分割の仕方に依らないことが知られています。

例1

(1) 球面を下のように分割をする。

このとき、 \( b_0=6, \ b_1=12, \ b_2=8 \) であるので、

\[ \chi(球面)=6-12+8=2 \]


(2) 輪環面を下のように分割をする。

このとき、 \( b_0=1, \ b_1=3, \ b_2=2 \) であるので、

\[ \chi(輪環面)=1-3+2=0 \]

閉曲面の穴の数を種数といい、 \( g \) と表します。

このとき、 \( \chi(s)=2-2g \) であることが知られています。

大域的なガウス・ボンネの定理

それでは大域的なガウス・ボンネの定理を示しましょう。

定理1 (大域的なガウス・ボンネの定理)

\( S \) を向き付け可能な閉曲面として、ガウス曲率を \( \kappa \) とすると、

\[ \iint_D\kappa dS=2\pi \chi(s) \]

ここで、

\[ S=\bigcup_{j=1}^{b_2}\{\mathbf{p}(u,v) : (u,v)\in \Delta_j\} : 三角形分割, \quad D=\bigcup_{j=1}^{b_2}\Delta_j \]

定理1の証明(気になる方だけクリックしてください)

もう少しお待ちください。

例2

半径 \( r \) の球面に対して、ガウス・ボンネの定理を確かめる。

\( \kappa=\frac{1}{r^2} \) であるので、

\[ \iint_D\kappa dS=\frac{1}{r^2}\iint_DdS=\frac{1}{r^2}\times 4\pi r^2=4\pi=2\pi \chi(球面) \]

今回はここまでです。お疲れ様でした。また次回にお会いしましょう。

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